「脂質異常症への食事アプローチ」
コレステロール値が高い方への食事指導紹介ということで、
私が普段意識して行っている3つのポイントをご紹介します。
1.まずは動機付け
血液中の脂質異常を放置すると、
血管の壁に血液中のコレステロールが付着して動脈硬化が進行し、
心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気を起こしやすくなります。
ただ、自覚症状が乏しいため、
脂質異常症を病気だと認識して下さる患者様が
まだまだ少ないのが現状です。
これは脂質異常症に限ったことではありませんが、
食事相談のまず始めのステップとして、
自分自身の病態を知っていただくことが、
動機付けの第一歩だと考えています。
脂質異常症では特に合併症についての説明を行っています。
2.できることから始めよう
次に患者様の身体状況や食習慣、ライフスタイル等の情報をもとに、
当院の指導用パンフレットやフードモデル等を使用しながら、
以下の5つの項目について、患者様と会話をしていきます。
①適正体重を維持すること
②間食や偏りの多い食品について
③野菜類の役割(カサ増し、食物繊維による腸肝循環への影響、ビタミン類の抗酸化効果)
④アルコール・タバコについて
⑤塩分について
この中で、まずはできること、できそうなことを目標に設定して
1回目の食事相談は終了です。
2回目以降は食事記録表、検査データ、目標の達成度等についての確認を行っています。
3.あれがダメこれがダメでは長続きしない・・・。
「たまには揚げ物が食べたい」、「家族と外食したいんだけど食べちゃだめなの?」
「自宅で漬物を漬けているんだけど、食べれなくなるんだね」等、
たまには、あれはダメなの?これはいいの?というお話や質問を多く受けます。
例えば、
①夕飯に揚げ物なら副菜はソテーではなく、サラダやお浸しなどをノンオイルで食べる
②栄養価を表示してあるお店なら、3つ食べてみたい料理を選び、
その中で一番カロリーの低いものを選ぶ、
③コンビニを利用するときはサラダも忘れずに、漬け物を食べたら汁物は我慢するようにしましょう 等、お話をしています。
もちろん、ある食品を摂り過ぎてしまえば過剰症に、不足が続けば欠乏症に至ってしまいます。
特定の食品を良いか悪いかで答えを出すのではなく、
組み合わせの足し算、引き算を上手に行えるようになることで、
食事をするうえでの楽しみや喜びといった部分も大切にできると考えています。
最後に
当院で行っている脂質異常症に対する食事相談の内容をご紹介させていただきました。
微力ながらWEBページをご覧の患者様のお力になれれば嬉しく思います。
これからも患者様の笑顔、そして美味しいとありがとうのために日々努めてまいります。