【奥島病院 三原 千春】

「食事療法、出来ているつもりが・・?」

 

 奥島病院は、温泉で有名な愛媛県道後の地に開設して、
既に半世紀が過ぎました。

 

 「最善をつくす信頼ある病院」「献身と寛容の心で行う医療と介護」
を理念に、医師、看護師、コメディカル、事務職の4本柱が一丸となり、
より良いサービスの提供ができるよう日々努力しております。

 

 

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栄養指導の場で感じることは、
患者さまをとりまく環境の違いに、一律の指導では大きな効果がなく、
個々の問題点の是正が必要であると考えています。
 また、個人によって理解力、実践力が大きく異なります。
 私達は、患者さまに少しでも実践して頂けるよう、
フードモデルや手作りリーフレットを使い、
わかりやすい栄養指導ができるよう努めています。

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長年、自分なりの食事療法を行っているにも関わらず、
一向に変化のなかった患者さまが栄養指導後、
2か月で良好な成績を治めましたので紹介します。

Mさん♀ 61歳 病名:脂質異常症


【身体状況】
身長158㎝ 体重58㎏
BMI23.2 標準体重55kg
体重変化は殆どない

 

【家族歴】
父...脳梗塞
姉...高コレステロール血症で
内服治療中

 

【血液検査値】
総コレステロール282mg/dl
中性脂肪 644mg/dl

【初回聞き取りより】
●脂質異常症を10年以上前から指摘され、
 3年前くらいから内服治療しているがほとんど変化なし。
●食事には注意している。
 ○外食はほとんどしない。
 ○油はオリーブ油を使用し、ごまを意識して食べている。
 ○肉:魚=1:3程度で、魚中心。
 ○野菜を多く摂るよう心がけている。
 ○菓子類を控え、間食には果物を!
 ○健康食品のビタミンE、コラーゲン、青汁粒を
  朝夕食後に服用している。
●運動、4~5回/週
 ○ウォーキングを40分程度実施。

 

 こう聞くと、家族性の脂質異常症で、あまり食事は関係ないかな?
という印象を受けました。しかし、食事調査してみるとどうでしょう。
Mさんの問題点が見えてきました。
・主食(米飯)は、一回50g~80g程度と控えめ
・油料理は少ないが、毎食ごまを小さじ2杯食べている。
・肉類は少ないが、バラ肉・ベーコンをだし代わりに使っている。
・野菜はしっかり食べているが、緑黄食野菜はほとんど摂っていない。
・夕食後に果物をたくさん食べる習慣がある。(みかんなら3、4個)

 

 このように、摂取エネルギー自体はまずまず良好でしたが、
健康を考えるあまり栄養バランスをくずしていました。

 

【食事改善の提案】
●主食は適量(100~150g)食べましょう。
●不足栄養素ビタミンB群を食事に取り入れましょう。
(玄米や雑穀米の利用。大豆、大豆製品、赤身肉など)
●油の使用量は1日大さじ1杯程度としましょう。
●緑黄色野菜、特に葉物野菜を意識して食べましょう。
●果物は、1日200g程度を目安とし、夕食後は控えましょう。
●脂肪の多い肉を減らし、赤身肉を食べましょう

 

mealmodel.JPG 真面目な性格のMさんは、
早速、雑穀米入りのご飯を100g以上食べるようにし、
その他の提案も少しずつ実行。
 主食を適量食べることで空腹感が減り、
自然と間食の果物を食べなくても良くなったそうです。
 その結果、この変化にはMさん自身も驚かれていました。

 

2か月後の変化
【身体状況】
体重58㎏⇒57.5㎏
【血液検査】
総コレステロール282mg/dl⇒222mg/dl
中性脂肪 644mg/dl⇒158mg/dl

 

 ごはんは控え、おかずをたっぷり食べることが良いと思っていた。
 果物は身体に良いと思っていた。
 ごまは身体に良いと思っていた。
など、健康情報が氾濫する中、良かれと思って実行していることが、
かえって悪化の原因になっていることもしばしばあります。


 私達は、まず患者さまの問題点を見つけるお手伝いをし、
患者さま自身に「自分には何が足りなくて何が必要か?」
を知ってもらうことが、行動変容のきっかけに繋がると思います。


 自己流の食事療法ではなく、一度、栄養のプロ、栄養士に相談してみて下さい。

 

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氏名 三原 千春
勤務先 医療法人団伸会 奥島病院
経歴 徳島文理大学
生年月日 1964年10月1日
血液型 0型
趣味 映画鑑賞
好きな言葉 ありがとう
モットー プラス思考