既に半世紀が過ぎました。
を理念に、医師、看護師、コメディカル、事務職の4本柱が一丸となり、
より良いサービスの提供ができるよう日々努力しております。
栄養指導の場で感じることは、
患者さまをとりまく環境の違いに、一律の指導では大きな効果がなく、
個々の問題点の是正が必要であると考えています。
また、個人によって理解力、実践力が大きく異なります。
私達は、患者さまに少しでも実践して頂けるよう、
フードモデルや手作りリーフレットを使い、
わかりやすい栄養指導ができるよう努めています。
長年、自分なりの食事療法を行っているにも関わらず、
一向に変化のなかった患者さまが栄養指導後、
2か月で良好な成績を治めましたので紹介します。
【身体状況】
身長158㎝ 体重58㎏
BMI23.2 標準体重55kg
体重変化は殆どない
父...脳梗塞
姉...高コレステロール血症で
内服治療中
総コレステロール282mg/dl
中性脂肪 644mg/dl
●脂質異常症を10年以上前から指摘され、
3年前くらいから内服治療しているがほとんど変化なし。
●食事には注意している。
○外食はほとんどしない。
○油はオリーブ油を使用し、ごまを意識して食べている。
○肉:魚=1:3程度で、魚中心。
○野菜を多く摂るよう心がけている。
○菓子類を控え、間食には果物を!
○健康食品のビタミンE、コラーゲン、青汁粒を
朝夕食後に服用している。
●運動、4~5回/週
○ウォーキングを40分程度実施。
という印象を受けました。しかし、食事調査してみるとどうでしょう。
Mさんの問題点が見えてきました。
・主食(米飯)は、一回50g~80g程度と控えめ
・油料理は少ないが、毎食ごまを小さじ2杯食べている。
・肉類は少ないが、バラ肉・ベーコンをだし代わりに使っている。
・野菜はしっかり食べているが、緑黄食野菜はほとんど摂っていない。
・夕食後に果物をたくさん食べる習慣がある。(みかんなら3、4個)
健康を考えるあまり栄養バランスをくずしていました。
●主食は適量(100~150g)食べましょう。
●不足栄養素ビタミンB群を食事に取り入れましょう。
(玄米や雑穀米の利用。大豆、大豆製品、赤身肉など)
●油の使用量は1日大さじ1杯程度としましょう。
●緑黄色野菜、特に葉物野菜を意識して食べましょう。
●果物は、1日200g程度を目安とし、夕食後は控えましょう。
●脂肪の多い肉を減らし、赤身肉を食べましょう。
早速、雑穀米入りのご飯を100g以上食べるようにし、
その他の提案も少しずつ実行。
主食を適量食べることで空腹感が減り、
自然と間食の果物を食べなくても良くなったそうです。
その結果、この変化にはMさん自身も驚かれていました。
【身体状況】
体重58㎏⇒57.5㎏
【血液検査】
総コレステロール282mg/dl⇒222mg/dl
中性脂肪 644mg/dl⇒158mg/dl
果物は身体に良いと思っていた。
ごまは身体に良いと思っていた。
など、健康情報が氾濫する中、良かれと思って実行していることが、
かえって悪化の原因になっていることもしばしばあります。
私達は、まず患者さまの問題点を見つけるお手伝いをし、
患者さま自身に「自分には何が足りなくて何が必要か?」
を知ってもらうことが、行動変容のきっかけに繋がると思います。
自己流の食事療法ではなく、一度、栄養のプロ、栄養士に相談してみて下さい。