「脂質異常症と食事療法」
当院で脂質異常症の外来栄養指導を受けられる患者様の多くは、
当院の健康管理センターにて健康診断を受診して来られる方が多く、
働き盛りの方が大半を占めております。
当院の脂質異常症の食事指導を行う際、血液検査データ以外に
以下の項目についても併せて評価を行っております。
年齢 BMI 食事回数 飲酒の習慣
性別 既往歴 食事の時間 喫煙の習慣
身長 家族歴 食事の内容 運動の習慣
体重 血圧
血液検査データではLDL-CとHDL-Cが出ますが、
データがないときはFriedewaldの式を用いて算出します<TG400mg/dl以下の場合のみ>
食事療法としては、
1、1日のエネルギー量を適正に、1日3回規則正しく食事をとる
肥満の場合は標準体重を目標に、1~2kg/月くらいの減量(現体重の4~5%)を目標とする
→3~4ヶ月で見直しする
2、肉より魚介類や大豆製品をとるようにする
たんぱく質は標準体重1kg当り1~1.2gとし、いわしやサバなどの青魚を摂取する
3、コレステロール含有量の多い食品を控える
S:M:P=3:4:3にし、魚卵や鶏レバー、シュークリームなどの甘い菓子類を控える
4、野菜や海藻類、きのこ類をしっかりとる
1日300g以上とるようにし、毎食欠かさずとる
5、アルコールは控える
週3~4日程度とし、摂取量は25~30gとする。但し、高TG血症は禁酒とする
<①改善した例>
54歳 女性 身長158cm 会社の営業職
4月26日 7月10日 11月27日
Tchol 249 222 194
LDL-C 166 139 118
HDL-C 61 68 70
TG 183 157 101
体重 65 62 60
*上記食事療法の他、
・夕食の食事時間が不規則で外食が多い
→外食のコンビニ弁当は550Kcal程度にし、夕食は食事量を控えめにしてもらった
・野菜が夕食以外は摂取できない
→100%野菜ジュースを活用し、食事摂取の順番を変更した
・移動はほとんど車で、あまり動かない
→本人が意識的に週2回ウォーキングを1時間実行
<②まだ改善していない例>
39歳 男性 身長170cm 土木業
5月22日 8月18日 12月22日
Tchol 231 194 262
LDL-C 152 102 177
HDL-C 45 36 70
TG 136 284 75
体重 83 80 80
*上記食事療法の他、
・体を動かすため、どうしても主食メインになる。
また、10時と15時にみんなでお菓子を食べる
→ 100%野菜ジュースを活用し、お菓子は少量にして、
単品ものではなくお弁当のようにいろいろ入ったものを食べる
・魚が好きじゃない。サバも好きじゃない
→ あじやさんまなどお刺身で食べれるものへ変更
②について
体重がなかなか下がらないことで焦ってしまっている。
奥様が作っても嫌いなものは絶対食べないため、
「こういう料理だったらこの食材は食べられるというものを見つけていき、
少しでも改善できるよう、一緒に頑張っていきましょう」と伝え、
現在も栄養食事指導は継続している
今、当院の患者様でも「○○1/2カット」や「○○プラス」といった表示がされているものなら
体に良いと思って摂取している方が多く見られます。
効率的に摂取するためには、組み合わせが重要だったりすることも多いので、
気になる表示があったら管理栄養士さんに聞いたりアドバイスをもらうといいと思います。