【公立置賜総合病院 井上 信子】

「地域の生活に合った食事アドバイス」

 

ある60代前半の主婦が健診後に
脂質異常症で初めて栄養指導にいらっしゃいました。

【以下、患者様  管理栄養士(井上)

このごろ体重が増えてきました。
なるべく間食もしないようにして、
食後のウォーキングもはじめているんですけれども・・

>>他に生活の変化はありませんでしたか? 

あっ、そういえば1年ほど前に息子家族と同居したんです。
孫はかわいいし、お嫁さんとも仲良くしています。
家事も手伝ってくれるので助かっています。

>>そうですか、それはお幸せですね。
    ところで、毎日の料理はどうなさっていますか。

お嫁さんは料理が得意で、
今まで家では食べた事がなかったおいしいものを作ってくれます。

>>得意な料理は何ですか?

肉料理が得意で、こってりした味付けのものが多いですね。
私の好みにも合っているし、残したら悪いと思って、全部たべてしまいます・・

 

もうおわかりですね、
家族が増えた幸せの中にちょっとだけ不安要素があります。

当院は山形県南部の置賜地方の中央に位置し、
「心かよう信頼と安心の病院」の理念のもとに、
設立から11年を迎えた地域の中核病院です。


byouinn.JPG山形県は三世代同居率全国1位
             共働き世帯率全国2位、
また4人に1人が65歳以上の高齢者で、高齢者の独居数が増加していますが、
地域のコミュニティがこれを支えている現状にあります。
このような中で当地方の食生活は伝統的な食文化が継承されています。
反面塩分摂取量が多いことや、農業県にもかかわらず
若い世代では野菜の1日1人当たり摂取量は基準の350gを下回っている事などは
心配のタネでもあります。
私たちが栄養指導でお会いする患者さんの生活でも
これらのことを実感する事が多くあり、上にご紹介した主婦はその1人です。

さて、脂質異常症といわれたら最近の生活の変化を振り返ってみましょう。
そして食生活についてもふり返って、
まず食べたものを書き出してチェックすることから始めましょう。

1.体重は増えていませんか?
  ・3食の食事は不規則ではありませんか
  ・お菓子、ジュースの量が多くありませんか 
  ・アルコールは多くありませんか
  ・油料理が多くありませんか
  ・もったいないからと残った物を全部食べていませんか
2.肉や卵類のおかずに偏っていませんか?
  ・魚はイヤ、豆腐や納豆はキライだなどはありませんか
3.単品や、特定のメニューの外食がつづいていませんか?
  ・おにぎり、菓子パン、牛丼、かつ丼などばっかりになっていませんか
4.毎食野菜のおかずを食べていますか?
  ・緑黄色野菜料理はめんどうくさいからと敬遠していませんか
  ・生野菜を食べたから大丈夫と思っていませんか
5.塩分摂取が多くありませんか?
  ・おいしい漬物、食事の汁物などの量はどうですか

 

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写真はお食事のコツと簡易記録表です。

生活の状況は一人ひとりみんな違っており、その食事内容は千差万別です。
私たち管理栄養士は当地域をよく知る身近な食事のアドバイザーとしてお手伝いしたいと考えており、
気軽にお声をかけていただける喜びを感じています。
 
1日3回の食事をすると、1年で1095回の食事をとります。
30歳の方は3万回以上、70歳の方は実に7万回以上の
食事の積み重ねが健康を作っているのですね。

偉大な食事に感謝!!

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氏名 管理栄養士 井上信子
勤務先 公立置賜総合病院
経歴 宮城学院女子大学 卒業
生年月日 1958年6月20日
血液型 B型
趣味 本屋をめぐり歩くこと
好きな言葉 ありがとう(地元の言葉では'おしょうしな'といいます)
モットー ほどほどにがんばる