私は、そばについて永年研究しています。国際そば学会(IBRA、イブラ)という学会があり、私はこの学会の発行している学会誌「ファゴピルム」(学名に由来した名前)の編集長を務めております。このような関係で、このブログのタイトルを「そば誌編集長のそば物語」としました。「たかがそば」、「されどそば」という感でして色々なお話があり、このブログでお話したいと思います。イブラは今から約30年前に設立され、ここでは、そばという1つの食べ物に限定して、栄養学や医学、食文化学、遺伝学、育種学、農業経済学、生化学など様々な分野からそばを眺めることをしています。3年に1度国際そばシンポジウムを世界各地で開催し、今年がちょうど開催年で、ロシアのオリョール市という所で7月に開催されます。
そばは、世界各地で広く利用されています。実に国際的な食べ物なのです。私達は、そばというとまず麺を思い浮かべ、またそばは日本古来の伝統食品と考えがちですが、そばは麺だけではなく(むしろ麺は少ない)、世界各地では様々な形に加工、調理され利用されています。
そばは、世界各地でいろいろな名前で呼ばれます。我が国では、漢名の「蕎麦」と書きます。古い時代には、「曾波牟岐(そばむぎ)」や「久呂無木(くろむぎ)」などの名前で呼ばれていました。フランスでは、ブレ・ノアールといい、これは「黒い麦」という意味で、我が国の「久呂無木」とよく似た呼び方です。
中国では蕎麦(チャオ・マイ)、韓国ではメ・ミル、ミャンマーではパンジョン(花の小麦の意味)などと呼ばれています。また、ネパールではクアンナ(偽りの穀類の意)、タイではカムサムリァム(三角形の米の意)などと呼ばれている。
ヨーロッパでは、次のように呼ばれています。ドイツ語ではブッフワイツェン、英語ではバックウィートと呼ばれます。このような語源については2つの説があり、1つは蕎麦の実がブナの実に似ているところからブナ(ブッフ)の小麦(ワイツェン)と名付けられたという説です。もう1つの説は、古語の意味として「偽の小麦」の意味があるという説です。いずれの説によるかは明確ではありませんが、前者の説は比喩的表現に基づいたものでして、一方後者の説は言語的表現に基づいたもので、より論理的だと思われています。同系列の表現は、オランダなど数カ国の言語に見られます。一方、そばの利用の盛んなスロベニアの言語ではアジュダと呼ばれ、この語には「異教徒の穀類」(言い方を変えれば遠方の食べ物)の意味があり同じ系統の表現はチェコ語など数カ国の言語に見られます。
他方、ロシアやポーランドでは「ギリシャ人の穀類」という表現で呼ばれ、これは「ギリシャから来た」という意味ではなく、「遠方の人達がもって来た食べ物」を意味すると考えられています。他方、イタリア、スペインなどでは、「サラセンの人達の穀類」の言葉で表現され、ちょうどポーランドやロシアの人達にとってギリシャが遠方であると同様に、イタリアなどの国では「遠方の国の人達の穀物」という意味をもっていると考えられています。このように、ヨーロッパではそばは「遠方からやって来た穀類」という意味をもっていると考えられています。一方、麦(小麦)には、語源的に「遠方から来た食べ物」という意味があると考えられており、従って、西洋ではそばは「遠方から来た食べ物」で、東洋では小麦は「遠方から来た食べ物」であり、食文化学の視点から興味深いと思えます。今日は、蕎麦の名前のお話をしました。
牧野友保
さん前回の続きです。
ホッコリする話ですが、天皇陛下でも好きなだけおそばを食べられなかったなんて。
そこへいくと私たちはなんて幸せなんだろう!
で、私は勝手に昭和の日を「そばの日」にすることにしました。その日は思い切りそば食べます。
牧野友保
さん最近、先生のブログを見つけて遡って興味深く拝見しています。
とりわけ蕎麦には大いに興味を持っていて、蕎麦に関する科学を、もっと知りたいと思っています。
また、前回の「天皇陛下がリンネ協会の名誉会員」であった話も興味を惹かれました。日付から昭和天皇のことだと思います。
以前 天皇陛下の料理番 谷部金次郎氏の著書「昭和天皇と鰻茶漬け」にこんなことが書いてあったのを思い出しました。「お芋やかぼちゃの他、魚はさんま、いわし、あじがお好きで…そばもとくに好物であったが、残念ながら月に一回、晦日そばとして食べることができただけ。その折には必ずお替りをなさいました」…300字では書ききれません。
どん子
さんはじめまして。おそばは大好きです。日本以外の国でも世界中で、色々な食べ方されているのですね。これからのお話を楽しみにさせていただきます。
シロクマ
さんはじめまして。
私もソバって日本の食べ物かと思っていました。
そんなに国際的なものだったなんて、他の国でのソバ、興味深いです。
cat♪
さんはじめまして。
蕎麦の話、とても奥が深く国際的な食物だとおもいました。私が普段何気なく食べている蕎麦にこのような背景(?)があったとは考えもしませんでした。
国際的な蕎麦を研究する学会があるということは、蕎麦は世界でなくてはならない存在ということですね。もちろん、今の世の中に一部を除きなくてはならにものなど存在しないでしょうけど。蕎麦は重要なものの一つなのですね。
食物を通じて世界が繋がっているということを感じます。
同じ“蕎麦”といっても違う名前が付けられていたり加工方法が違ったりと、世界で様々な用途で使用されているのですね。使い方などが違っても同じ蕎麦にかわりはないのですから、世界で同じものを必要としているといっていいのですね。
あいりん
さん初めまして!
一口にそばと言っても、言葉の意味にはそんな意味が込められていたなんて。。。小麦とそばは、西洋と東洋の食文化を表すのに代表的なものなんですね。
初めて知ることばかりで、すごく勉強になります!
ふたちゃん
さんすごく勉強になりました!
これからも楽しみにしています!
トトロ
さん初めまして★
そばは日本食というイメージでしたが
様々な形で世界で食されているんですね!
次回も楽しみにしています。
ユウタ
さん池田先生のブログが公開されていると大学のHPで知り、さっそく登録しました!
蕎麦についてのブログ、先生らしくて、勉強にもなりますのでとてもイイと思います!
今年度から3回生としてお世話になります(^^)
K
さんはじめまして。麺類は好きで、特に日本蕎麦が大好きな私としては先生のお話を楽しみにしていた一人です。これから宜しくお願いします。
リンダ
さんこんにちは。
形は違えど、世界中でそばは食べられているのですね~。
私は麺の他に、そばがきやそばクレープなどを食べたことがありますが、
食べなれている形状でないので不思議な感じがしました。
でも味の方はやっぱり美味しいです♪
これからも楽しみにしております。
RYU
さん個人的にですが、そばは大好きです。
他の国では、日本とまた違った食べ方をしているんで
しょうね。。
興味あります。
らぁる
さんはじめまして!!!
お蕎麦って、日本人しか食べないものかと思っていました。
でも、お蕎麦を『すごい美味しい!!』って思ったことがなく、滅多に口にすることがありません。
色んな種類のお蕎麦を口にして、自分で好きな味をしってみるのもいいのかなぁ~って思いました。
トーテム
さんはじめまして。
そばってそんなに国際的だったのですね。
私も他国ではどのように使われているのかぜひ知りたいです。
ismr
さんsobaがそんなにインターナショナルなものだったとは知りませんでした!
原産地は東洋ということでしょうか。
世界的に広まりながらも米や小麦との主食の座争いに勝てない理由などを知りたいです☆
ちろ
さんこんにちは!
そばというと、日本の食べ物というイメージで、世界各国で食べられているとは知りませんでした!
国際的なシンポジウムも開催されるほど広がっているのですね。
世界ではどのような食べ方をしているのかとても気になります♪
オサム
さんはじめまして。
私も蕎麦は日本独特の
食べ物のイメージでした・・
考えてみればそんなはずないのですが・・
もっと色々蕎麦のことが
知りたくなりました。
たま
さんそばは好きで,おいしいそばが無性に食べたくなることがよくあります。
他の文化でのそばの捉えられ方や,語源は聞く機会がなくて非常に面白いお話でした。
そばも麦も「遠方からやって来た穀類」として捉えられ,そう呼ばれている…なんて,ちょっと面白いことですよね。
s.hat
さん蕎麦は大好きで健康にも良いと思い週3回は食べていましたが
これほど国際的なものとははじめて知り、益々興味が湧いてきました。これからもそばについてお教え下さい。
りんご
さんそばが世界的な食べ物だったとは
とても驚きました!!
食べられ方や味付けも
違うのですか?
今後のブログ
楽しみにしています(^^)
ハク
さんはじめまして!
最近そばを食べない日がありません。
明日からも「そばブーム」続きそうです!笑
白ごはん
さんそばというと日本の食べ物と思っていました。
世界各国でいろいろな名前で呼ばれていること知りました。
ドロップ
さん私は大阪で育ったので、そばかうどんかの選択肢があるときは、うどんを選択することが多かったのですが、このブログを読んでそばが魅力的に感じてきました!
引き続き、ブログ更新楽しみにしています☆
ぽん
さん蕎麦って日本を代表する料理だとばかり思っていました。
世界中で食べられているなんて驚きです。
世界の各国で蕎麦がどんな姿に変身して食卓に並ぶのか興味深いです。
今後のブログに期待しています。
銀杏
さん蕎麦がこれほど国際的であるとは知りませんでした。
蕎麦は好きでよく食べますが、製造過程を意識した
ことはほとんどありません。うどんなら店先で
作っているのをよく見かけますけどね。
他の国ではどのようにして食べているんでしょう。
とても気になります。
Shozzy
さんはじめまして!
世界ではどのように蕎麦を使うのか興味があります。日本に麺しかイメージができないのですが、色々知りたいです!
更新楽しみにしています!
Pig。
さんはじめまして。
蕎麦はたくさんの種類があるんですね。
家族にそばアレルギーの人がいるので、なかなか食べる機会がありません。
1つの食品でのシンポジウムがあるのは驚きです。
どういう内容の話をするのですか?いつか教えてください。
ジョー
さんはじめまして!
そばって国際的な食べ物なんですね。
日本では麺を箸で食べていますが、世界各国ではどのような形
態でどのように食べられているか気になりました。