3月に入り十日が経ちました。

春らしい暖かな日とコートが必要な寒い日が交互に訪れます。ちょうど季節の変わり目にありますね。

庭の花が咲き出して彩り豊かになってきました。

 

ミニスイセン 高さが15㎝程度の小柄な?ラッパ水仙です

minisuisen-2016.JPG

ヒマラヤユキノシタ  葉は像の耳のように大きいものです 

himarayayukinosita-2016.JPGさて、2年生は授業や単位に関わることは2月で全て終了し、後は319日の卒業式を待つばかりです。

今回は、2年生が行なった"高齢者へのおやつ提供"の活動について紹介します。

 

《JA山口宇部との協同事業》

本学と山口宇部農業協同組合(以下、JA山口宇部)は、平成256月から産学協同の協定を締結しています。

その事業のひとつとして、JA山口宇部が実施している「通所介護事業-ふれあいデイサービス"樹(ミキ)"」における、学生考案の手作りおやつを提供する活動をしており、前年度の様子は既にブログで紹介させていただきました。

デイサービス"樹"を利用される高齢者の特徴は次の通りです。

  人 数:25名程度

  年齢層:7090歳代

  男女比:男性1:女性9

  介護度:要支援1~要介護4

利用者さんの中には、荒キザミにして提供する場合もあり"食べる人の食べる機能に合わせたおやつ作り"が求められます。  

 

《高齢者に喜ばれるおやつの考案》

高齢者のおやつは三度の食事で不足する栄養素や水分補給という位置づけで、補いという意味合いが強いのですが、一日の楽しみのひとつであることには変わりありません。

高齢者は、長い期間をかけて積み重ねられた生活習慣、疾病の有無、加齢による身体機能の変化について、個人差が大きいのが特徴です。

食事もおやつも個々の対象者にふさわしいものが求められます。

このようなことを踏まえ、前年度は高齢者にふさわしいおやつの考案、調理・提供を目指しました。

 

 おやつの量:エネルギー100~200kcal

 内容:さつまいも入りきな粉団子(手作り小豆あん入り)

    煮りんごのヨーグルトかけ(二色煮りんご)

    かぼちゃあん入り蒸しパン

    かぼちゃプリン(豆乳プリン)

    クリスマスロールケーキ(米粉のロールケーキ)

 

今年度はさらにバージョンアップさせるために、食材、量や食べやすさに加え、行事や地産地消、彩りや盛り付け等の外観の工夫、楽しさが感じられるネーミングを取り入れ、"高齢者に喜ばれるオリジナルおやつ"を目指しました。

それでは紹介しましょう。

 

ごちそうプリン(718日提供)  エネルギー 148kcal

2015.7.18-1.JPG盛り付けを工夫して 笑顔のプリン にしてみました。

2015.7.18-2.JPGポイント:フルーツたっぷりで豪華、生クリームで楽しい盛り付け、蒸す時間に気を付けなめらかに仕上げる

 

ゼリー&クッキー(87日提供)  エネルギー 101 kcal 

ゼリー&クッキー.JPGポイント:スイカの皮を星に型抜き、赤と白・赤と緑のコントラスト、スイカゼリーとカルピスゼリーの2種類の味が楽しめる、爽やかでのど越しのよいゼリーにクッキーをプラスすることで満足感アップ

 

ぜいたくあんみつ(928日提供)  エネルギー 167 kcal 

anmitu-1.JPGポイント旬の梨(県内産赤梨)を使用⇒地産地消、多種類のフルーツを使用、二種類の寒天・生クリームで満足感、小豆あんを(も)手作り

*なんといっても手作り小豆あんが好評でした。

 

甘酒蒸しパン(1027日提供)  エネルギー 116 kcal 

amazake-musipan-2.JPGポイント:秋の行事と関連付けて甘酒を使用⇒甘酒は秋祭り等で飲む(ハレの日の食物)、甘酒は米麹甘酒・酒粕甘酒の2種類を使い風味と食感を重視、甘納豆で飾り付け

*甘酒を用いたことが高評価につながり、話題性もありました。

 

なめらか芋ようかん(1116日提供)  エネルギー 114 kcal 

imoyoukan-1.JPGキザミの方への提供

imoyoukan-kizami.JPG

ポイント:バターを使用し風味となめらかな食感をプラス、蒸し芋をイチョウと紅葉に型抜きし抹茶を使って秋らしさを演出

 

クリスマスココアプリン(1214日提供)  エネルギー 105kcal 

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ポイント:いちごやヒイラギでクリスマスを演出、豆腐を使いココアの苦みを抑えなめらかな食感

 

《おやつ提供のようす》 

この、おやつ提供の活動はゼミとして取り組み、四人の平岡ゼミ生が活躍してくれました。

 

おやつ提供の前に、どのようなおやつなのかを説明します。

名称、材料、作り方、食べ方、工夫したところ・・・等

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setume--nari-kiyo.JPG説明を聞いていただいているところ

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感想を伺っているところ(聞き取りの嗜好調査)

kikitori-mari.JPG

JA山口宇部広報誌「ふれあい」に掲載

JAだより「ふれあい」という月刊広報誌に活動の様子が掲載されました。2015年12月号(平成27年12月1日発行)です。

甘酒蒸しパン提供の様子です。

fureai12gatugou-2015.JPG《おやつ提供のまとめ

提供の度に利用者さんご意見を伺い(聞き取りの嗜好調査)、これを評価として位置づけ、次回の提供に生かせるように試みました。

まさにPDCAサイクルに則った活動です。

 

利用者さんからの評価が高かった手作り小豆あん、甘酒蒸しパン(甘酒含む)をとりあげ、年代が違う学生に対し嗜好調査・官能評価をし、論文内容に加えました。

 

ゼミ論文提出は1月末で、発表会は2月18日に実施しました。

発表会では、パワーポイントによる口頭発表ポスター発表両方を行ないます。学生は忙しい!のです。

写真はポスター発表に用いたポスターです。

 

     テーマ:高齢者に喜ばれるおやつの提供と評価

posuta-happyo.JPG 興味深いこと甘酒蒸しパンの提供を通じて学んだこと‐

甘酒蒸しパンはデイサービス利用者(高齢者)に高評価を得ました。

そこで、対象の違いによる嗜好の差について探究してみました。

対象:高齢者はデイザービス樹の利用者、学生は本学科1年生         

高齢者:甘酒は好きである(飲んだ経験がある、懐かしい)

    甘酒蒸しパンは好きである

    甘酒が好きなので、甘酒蒸しパンも好きである

 

学 生:甘酒は好きではない(飲んだ経験がない学生が多い)

    甘酒蒸しパンは好きである

    蒸しパンが好きなので、甘酒蒸しパンも好きである

 

以上の結果から、甘酒に対する嗜好の差はあったものの両者とも甘酒蒸しパンは好きであることがわかりました。

どのような食経験をしてきたのか(食歴)が、食べ物の嗜好に影響することが示唆されました。

よって、食べ物を提供する場合には、対象者の食歴に注目することが重要であることを学びました。

 

 

 

ヒラリン

  さん

コメントありがとうございます。
庭の花は野放しの状態ですが、毎年ちゃんと花を咲かせてくれます。
高齢者のおやつ提供は、本学の大量調理実習室で作って行き、施設の方で盛り付け、配膳をします。
ゼリーなど冷たいデザートのときは、クーラーボックスで運搬します。
おやつは完成までに数回の試作をし、仕上げ方(こだわりの盛り付け)、調理時間(授業の合間)の確保、説明用ポスターやアンケート用紙の準備など、1回のおやつ提供に1ヶ月程度の時間が必要です。
*授業の空き時間があまりないので。
考案、調理、提供、評価の一連について、現実性のある計画が重要でした。
回を重ねるごとに利用者さん、スタッフの方とのコミュニケーションが深まっていき、学生にとっては良い体験の場となりました。

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こいのぼり

  さん

水仙やゆきのしたなど、きれいですね。手入れが大変でしょう。きっと、たくさんの種類の花ががそろっているんでしょうね。

高齢者向けのおやつ、かわいらしくて、きっと人気があったでしょう。写真はデイサービスの施設ですか。慣れない場所での実習は大変だったでしょう。指導の先生のご苦労が感じられます。高齢者は、なかなかこんなおやつにはありつけませんから、どんなに喜ばれたでしょうか。介護士の方の評判はどうでしたか。
学生さんも、できるだけいろんな年齢層の方と接する機会があるといいですね。

花もおやつも頑張ってください。

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