パンのよいところは、小麦粉に水を加えて練って作ったかたまり(パンドウと言います)を一気にふくらませ、それを一気にオーブンで焼いてしまう点です。これは、かたまりの中にイーストが含まれているからできるのです。イーストの力(イーストの発するガス)が大切です。
もしもイーストを入れないでそのままオーブンで焼いた時にはどうなるのでしょう。
そのパンの表面は真っ黒にこげてしまって全体的にはカチンカチンになってしまうでしょう。長時間を要するため表面は炭となり、わずかに中心部がモチ状になるのです。それがイーストを用いずに焼いた場合のパンです。イーストを使うことを知らなかった時代のパンはそんなものだったでしょう。
オーブンに入れる前後で、イーストは混ぜてある砂糖を餌にして、炭酸ガスやエタノールを出して、パンドウ中に気室をたくさん作ります。この気室群が大切なのです。この気室はパンになるとスポンジ状の組織になります。
この小さな気室のたくさん集まったかたまりをオーブンに入れると、オーブンの熱はまずかたまりの表面に到達し、その熱は小さな気室まで伝導熱でゆっくり伝わります。熱を受けた側の気室表面の水はその熱(気化熱)をもらって水蒸気(ガス)になります。熱い水蒸気は反対側の冷たい気室の壁にあっというまに到達し、持っていた熱を放出し自らはそこで水滴(露)となります。つぎにその熱はさらに中心部の気室に同様に伝導熱として伝えられーー、という風に熱は伝導熱、気化熱、伝導熱と繰り返して、つぎつぎに熱を中心部へ伝え、内部まで焼いてゆくのです。このやり方の熱の伝え方は、先ほどの伝導熱だけの団子状のものよりも効率がすごく良く、短時間のうちに熱をパン中心部まで伝え、食べられるようにするのです。
一般にこのように、膨らませるということは、短時間の内に効率よく食材中心部まで加熱調理が出来るという素晴らしい加工方法です。
パンの場合、クラスト(パンの皮のこと)は温度が160℃まであがり、水分含量は約15.5%ほどになり、皮の様になることはご存知の通り。クラムはパンの柔らかいところで、オーブン中では100℃以上まであがらず、水分含量は約44.2%ほどの、パンを生鮮食品と言わせる部分です。野菜、果物などおいしい生鮮食品がしっかりした皮で包装されているような食品です。
このパン皮のクラストはオーブン温度230℃で、20分間ほど加熱されるため、いろいろな機能が持たされているはずです。
パンとは我々の体のエネルギーになるところクラムと、体内を掃除する機能を有するクラストの2パートからなっていると言ってもいいのではないでしょうか。
ドン子
さん始めて投稿させていただきます。我が家に頂き物のパン焼き器があり、時々ですが、パンを焼いています。以前、古いドライイーストを使ってしまい、パンが膨れずおだんごみたいに固まってしまいました。焼きたてのパンは柔らかくてとても美味しいですね。これからもパン焼きに挑戦していきたいと思います。
オサム
さん一度焼いて仕上げたパンを
食べる前にもう一度
トーストするというのは
他の料理法には
あまり見られないような気がします。
歴史の長さなのでしょうか
めぐみこd
さんイーストの役割はなんとなく知っていましたが、しっかり説明を聞いたのは初めてで興味深いです。
イースト、いい仕事してますね♪
ドロップ
さんクラムとクラスト初めて聞く言葉でしたが、パンのおいしさやふくらみなどパンの構造がよくわかりました。
Shozzy
さん小さい頃にイーストを入れてどうのこうの・・・と何かで読んだ気がしますが、詳しくは覚えてませんでした。とても勉強になりました!ありがとうございます。
shat
さんパンが焼けるメカニズム大変解り易く、興味深くご説明戴き有難うございます。また、イーストの役割大きいですね、人にもそれぞれの役割があることを改めて考えさせられました。
Pig。
さんイーストが大切ということを知っていましたが、入れないとそんな恐ろしいことになるとは、知りませんでした。
肉まんを作ったことがありますが、思うように膨らまずあまり美味しくなかった気がします。パン作りは難しいですね。
ぽん
さんパンを作るにはイースト菌が必要、ということだけは知っていましたが、なぜ必要なのか、パンがどんな仕組みで出来上がっているのかは全然知りませんでした。
パンのことを知って食べると、また味わいかたも変わってきて面白そうですね。
リンダ
さんパン作りは奥が深いですよね。
イースト菌は生き物だけあって、うっかり醗酵しすぎてしまうと
思った通りに焼きあがらなかったり・・・。
料理教室でレシピはいろいろ習得してきましたが、なかなか
家で振舞うことが出来ません(´_`)
ジョー
さんイーストにそんな重要なポイントがあるとは知りませんでした。
焼きたてのおいしいパンを買うことのできるお店が自宅の近くにあるので、焼いている光景も楽しみながらパンを味わっていきたいと思いました。