今回のGF10学会(フィンランド、タンベレ市)では、以下のようなポスター発表 "A gluten-free bread with viscous yam (D. japonica) (Jinennjyo) instead of wheat flour (=小麦粉に変えて粘性ヤマイモによるグルテンぬきパン製造研究)" を行いました。
グルテンを用いずに,すなわち小麦粉を用いずに膨化食品を作ろうというものです。対象は製パンです。
前回のブログで述べましたように、小麦グルテン中のCeliac 病(CD)を引き起こす原因タンパク質は、そのキーポイントになるアミノ酸配列まで分かっています。テトラペプチドPSQQ, QQQPが、その活性ペプチド(P;Pro, S;Ser, Q;Gln)でした。
当方の研究では小麦グルテンに匹敵するねばりのあるヤマイモに注目いたしました。これはタンパク質ではありません。ヤマイモには世界中に600種類あるともいわれています。そのうち日本には3種類(ジネンジョ、長いも、ダイショ)があります。大和イモ、イチョウイモ等は長いもの中に入ります。ジネンジョは、日本原産のもので、昔から日本でも薯蕷まんじゅう、カステラをモデルにしたかるかん等に広く用いられており、熱いご飯にこのジネンジョをかけて日本人はよく食べますよね。
ここではこの粘性物質を小麦粉、小麦グルテンに代替えしました。ヤマイモは良く摺り合わせた後、凍結乾燥し、小麦デンプンとブレンドして小麦粉の代替えとしました。砂糖とイーストもまぜ、醗酵させて、製パン試験を行いました。ジネンジョが最も強いねばりを示しました。そのためかパンも最もよく膨れました。ねばりの強いものがよく膨化するというわけです。
ヤマイモパンならばグルテンによるCeliac病は起らないと思います。ジネンジョのねばりは多糖類マンナン、グルコプロテインと言われています。これらのヤマイモのねばりについては、関東学院大学の津久井先生が良く研究されています。多くの論文を参考にさせていただきました。
さらに当方ではジネンジョを多量の水に透析し、その透析外液と内液による製パン試験をそれぞれ行いました。ジネンジョの透析内液(HMW)とは、分子量が大きくて透析膜の穴を通らない区分です。透析外液(LMW)とは逆にこの透析膜の穴を通過する分子量の小さな区分でした。
これらHMW, LMW区分をそれぞれ用いて製パン試験を行ってもパンは膨化しませんでしたが、ジンネンジョと同比率でHMW, LMW区分を混合して製パン試験すると、ジネンジョのパンと同じ膨化を示す事がわかりました。
ジネンジョで膨化する為にはこのHMWとLMW区分とが必要という事でした。このパンの膨化はヤマイモのねばりに基づくものです。LMW区分中の糖質成分、ペプチド成分と、HMW区分とのからみでこのようなねばりが生じ、製パンとなるものと推察しています。
その他、粘性物として納豆のねばり、海草のねばり、バナナのねばりなどを利用した同様の膨化食品の研究も進めています。
ジョー
さんやまいもパンは普通においしそうです。
ごはんに合うので、パンにもきっと合うと思います。
普通のパンの中に具としてやまいもを入れるのもおもしろいと思います。
らぁる
さん粘性物の代替利用した同様の膨化食品の研究も進められてるなんて、とってもビックリ!!
納豆とか・・・
想像できないし!
でも一番にビックリしたのが、粘りがあるものでパンが作れること。不思議です!
ダンボ
さん小麦グルテンに匹敵するねばりのあるヤマイモ
を代替品にして、
小麦粉を用いずに膨化食品を作ろうという試み
なんだか面白そうですね。
トーテム
さんお好み焼きとかには入れるのは聞きますがパンは聞いたことがないです。
お好み焼きと同じでふっくらするんでしょうか?
気になるところです。
Pig。
さん私は山芋が大好きで、今朝も食べてきました。
山芋は確かに粘りがあるとは思いますが、山芋のパンは想像できないです。
納豆は、外国の方には厳しそうですね。
研究が成功されたときは、味の感想を教えてください!!
RYU
さんやまいものパン・・・イメージできない・・・
食べてみたいです。。
shat
さんやまいもパン精がつきそう是非たべてみたいです。良くもんじゃ焼を食べる時山芋を入れています。