今年のAACC (American Association of Cereal Chemists, International) 大会は,ジョージア州のサバナ市で10月24?27日にわたって行われました。サバナ市は、アメリカ南部の歴史ある町です。会場近辺は、サバナ川を挟んでダウンタウンと巨大な会場(コンベンションホール)のある川向こうからなってました。
ダウンタウンのホテル群に泊まった参加者は、フリーのシャトルバスや汽船で会場まで行けるようになっていました。サバナ市は多くの歴史的な由緒ある地域で、町の中心部には一面しだれのようなこけで覆われている木々があって,夜にはオレンジ色のライトでそのクラッシックの雰囲気を作っているというなかなかしゃれた観光地でした。
アメリカはこのところ、年から年中戦争状態であり、困ったものです。そのためか我々がアメリカ国内に入る時の入国手続きは極めて大変です。サバナ市まで行くのに伊丹、成田、ワシントンDCダラス空港とゆき、そこでさらに乗り換えました。ところがこのダラス空港でアメリカへの入国手続きが厳重に行われ、一人当りの手続きに大変に時間がかかりました。
ヨーロッパからの観光客も多いようだ。指紋、顔写真、聞き取り調査で、長蛇の列はなかなか前に進みません。一時間なんてアッという間でした。日本からアメリカへのフライトは、向い風のせいもあり、15分あまり遅れました。
「次の乗り継ぎの飛行機に間に合わない」と誰かがいうと、係員は「これは政府の仕事で、航空機会社の都合とは関係ない」と言ってきます。時間はたちまち経過して、そこを通過してやっとゲートに入ったら、すでに乗り継ぎのサバナまでのフライト時間をとっくにオーバーしています。間に合わなかったのです。
途方にくれ、飛行機会社に掛け合うと、新しいチケットは出してくれたが、「ツモロー」と言われ、「本日中に行かねばならぬ、どうしてくれるのか」と食い下がったが、「本日のフライトはもうないよ」と言われてしまいました。しかたないのでインフォメーションでホテル紹介してもらいました。
一晩宿泊後、翌朝のフライトでサバナ市に行きました。サバナでは、すぐホテルで荷物を解いて会場へ向かい、ポスターをはりにホールへ向かいました。小生の発表は、"Effect of the outer bran layers from germinated wheat grists on bread-making properties"というタイトルで、小麦フスマの製パン性劣化を改良するという研究でした。これは小生のところで大学院マスターを終了した魚津雅子さんの仕事です。彼女は、目下日本製粉(株)研究所に勤務です。会場には上司の大楠 秀樹氏も来ておられました。
小麦フスマは小麦から15%近くもとれ、栄養価も高く、食物繊維としても有効な物質ですが、その製パン性との相性は極めて悪いのです。魚津さんは、発芽小麦から得たフスマを小麦粉に10%置換して製パン試験を行いました。発芽日数を変え、5日目のもので製パン試験するとその製パン性(パン高、比容積)はコントロール(無添加)の1.4倍ほど上昇しました。その原因は発芽小麦中の分解酵素群(αー、βーアミラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)でした。特にαーアミラーゼ、キシラナーゼ活性の上昇が製パン性上昇と相関性が高かったのです。そういった内容の発表(Cereal Chem 87(3):231-236, 2010)でした。これは大会3日目のポスタートークでも発表しました。ポスタートークとは、終了したポスターをさらに別室に張替え、そこで内容をオーラルで5分間、スライド3枚で紹介後、さらにデスカッションするというものでした。ポスターセッションで2日間貼付けデスカッションし、更に1日このポスタートークでデスカッションするという油断ならぬ発表でした。
色々なヒトが興味を持ってくれて、特に発芽したフスマに対して大きな関心があったようです。
グルテンフリーの学会(第2回のGluten-Free Cereal Products and Beverages学会)が6月にフィンランド、テンペ市であり、その内容についてはご紹介した通りでしたが、やはりこの分野の発表がAACC大会でも多く目に止まりました。
特にメキシコのAlma R. Islas-Rubioさんのオーラル発表では、グルテンタンパク質をキモトリプシンを用いてメチオニン修飾し、それを用いた合成粉でパンを焼いてました。このペプチドは、CD(Celiac disesase) 患者のserum IgA immunoleactivityを低下させ、病気が出にくくなったという発表でした(Journal of Cereal Science 52 (2010)310-313)。その後、御本人が丁度小生のポスターに来たときに、詳しく伺う事も出来ました。他に雑穀を用いたグルテンフリーパンの発表等があり、興味深かったです。Celiac病は、アメリカ、ヨーロッパで次第に増加しているといいます。 わが国でもこの問題は油断できません。時間の問題でしょう。それまでにこの様なものに対するグルテンフリー食品加工の可能性を研究しておかねばならないと感じてます。
相変わらずデンプン生合成、抵抗性デンプンの研究がAACCでは主体で、グルテンフリーの研究など新しい流れは前年度に引き続き大きな流れになってました。
帰国時にもやはりフライトにトラブルがありました。ワシントンDC、ダラス空港に到着し、建物の中に入ると大きな声で "Seguchi" とアナウンスメントがあり、「直ちにC-1gateへと」いうアナウンスメントでした。両手に重い荷物を抱えて長い廊下を走ってやっと飛行機に間に合いました。やれやれやっと日本に無事帰国出来た次第です。フライトと次のフライトのつなぎ時間の1時間は絶対無理ですね。2?3時間は必要です。皆さん御旅行時には心してください。
今回のフライトで驚いたのは、このユナイテッド航空ではおやつにカップヌードルが出たことです。たしかきつねうどんでした。宇宙食にもあるのですから、あり得ますね。
ダンボ
さんお疲れさまでした。
レジャーで海外旅行ならいいのですが、ビジネス
で海外旅行は大変ですね。
ぽん
さん大変な旅になりましたね。お疲れ様でした。
私も、9月にベトナム航空とカンボジア航空を利用しましたが、小さい飛行機なりに快適なフライトでした。
空港での手続きもスムーズに済んだので一緒に旅行した初海外経験の弟もドキドキながら無事に旅を終えることが出来ました。
やはり、地域にもよるのでしょうが厳戒警備も大切ですがスムーズにして欲しいものですね。
りんご
さんトラブルの多い度だったんですね!
カップラーメンがでるなんて驚きです。
ユナイテッド航空のってみたいです
azuuuuuuuu
さん海外のサービスって意外に淡泊すぎてびっくりしますよね。
日本人が気にしすぎなのでしょうか?
そんな場面に遭遇したら、何にも出来なくなってしまいそぅ。。。時間管理と外国語が堪能にならなければと渡航には難題が多そうです。
Shozzy
さん私が先日空港で乗り継いだときは3時間あってかなりのんびりできましたが、運がよかったんですね。
Celiac病という言葉を初めて聞きました。調べてみようと思います!
ミー
さん発芽米や発芽玄米は聞いたことありますが
発芽フスマもあるのですね。
パン食べてみたいです。
偽PT
さん海外行くのも大変ですね。
Celiac病はどういう病気がわかりませんが、アメリカやヨーロッパでも広がっているのであれば、日本にもすでに発症しているかもしれないですね。怖いです。
mottei
さん旅行ならまだしも、仕事で遅れるのは大変ですね
グルテンフリー学会など、色々な学会があり
世界中でさまざまな研究があるんだと感心しました。
とりあえず、お疲れ様です
トーテム
さん海外に行くというのはなかなか大変ですね。
私はずっと日本にいてこじんまりとまとまってしまっているのでなかなかその苦労は解りませんが、そのうち海外に行くことがあればこのような苦労を味わうのかもしれませんね。
戦争のような垣根なく研究が進むとよいですね。
ムスコ
さんコメントするのは初めてですが、いつも拝見させて頂いて
ます。
国の違いっていうのは大きものなのですね。
日本で同じことように時間をかけて行なう手続きが発生し
たら、大問題になりそうですね。
それだけ、危険度が高いってことだと思うので無事だった
ことにホッとしております。
お疲れ様でした。
ドロップ
さん大変なフライトだったんですね(>_
RYU
さん入国手続きとか、、結構めんどくさいですよね。
僕は数年前に、、スリランカで乗り継ぎの際に
次の飛行機が3時間も送れるというトラブルに
合いました・・・
めちゃくちゃ疲れましたが・・・
かみ
さん先日は久しぶりにゼミ室に行けて楽しかったです。
入国手続きには困ったものですね・・・
しかし、それ以上の成果があったようですね。
先生の色々な国の話もおもしろかったです。
また聞かせてください。
オサム
さんセリアック病は遺伝的要素が大きいように
聞いております。
ストレス過多なども要因となるようですから
何事も取りすぎに注意なのかもしれませんし、
グルテンフリーでセリアック病が防げたとしても
何か他に反応を起こす人も出るかもしれませんので
いたちごっこの世界かもしれません。