小麦粉を枯らす、ねかすということは、実験室では室温で小麦粉をどこかに放置しておくとなります。温度や湿度がなるべく変化のないところに置くことになりますが、一年間放置となると日本の場合、四季があることからそのコントロールは難しいです。
暗所で、通風のよいところ、カビの生えぬところとなりましょうか。
鉄板トレー(25cm x 34cm x 3cm)中に1kgの小麦粉を高さ1cmほどになるように入れて、これを陽の当らぬような上述の部屋に数多く放置します。
この数多くのトレーを経時的に1個づつ取り出してはカステラベーキング、小麦粉の物性測定、酢酸分画法による小麦粉の分画等を行いました。
ほぼ1年間にわたってサンプルを実験してゆきますが、すぐに実験のできぬときは、冷凍庫に小麦粉サンプルは保存しました。
カステラベーキングは卵の起泡性を利用して行うものですから、ベーキング前にはバッターの比重を常に測定して、一定の比重範囲内に入るよういたします。
卵は常に新鮮なものを購入して使用しました。小麦粉はエージングを続けると次第に疎水的になり、その様子はミキソグラフという小麦粉測定装置にかけるとよくわかりました。
この方法は、小麦粉10gに水 5.0mlを加えて撹拌すると小麦粉は水を吸い糸状になり、これを回転しながら糸巻き状の数本のピンに絡ませて行きます。そのときの抵抗を測定するものです。
新鮮な小麦粉は、短時間内にクリーム状のバッターになり連続性を示し、ピンに巻き付いてゆき、きれいなプロフィールを示しました。
小麦粉が枯れるとともに小麦粉は水を吸わなくなり、ピンには巻き付きにくくなりました。これをプロフィールに示すことが出来ました。
枯れてくると、水を加えても小麦粉は吸水が困難になってくるということです。
この時の小麦粉は、酢酸分画を行って水溶性区分、グルテン区分(pH3.5)を除去した後、プライムスターチ(PS) 区分とテーリングス(T)区分は十分に撹拌後、遠心分離しても分離しなくなるという点がありました。
即ち、PSとT区分間に相互作用が生じてお互いに遠心分離で分離しなくなるということです。物理的な力(疎水化)が働いてます。
プライムスターチ粒(小麦デンプン大粒)は表面が疎水的に変化し、強い親油性を示すことが分かりました。小麦デンプン粒には大粒と小粒があり、大粒はPS 区分で、小粒はT区分にきます。
この小粒もやはり親油性を示しました。疎水性同士が互いに引き合い、PS,T区分の相互作用となったものです。
小麦水溶性区分、グルテン区分も疎水性になっているかどうかは証明データーがありません。
小麦粉はエージングで全体的に疎水的になっています。
続く
ダンボ
さん温度や湿度がなるべく変化のないところと言え
ば地下室です。
しかし、暗所はクリヤーしますが風通しは悪い
ですね。
Pig。
さん小麦粉もただ枯らせればいいということではないのですね。
難しいです。おいしいカステラを作るには1年も前から準備が必要ということですね。
冷凍庫に保管する場合はどれくらいの期間が必要なのでしょうか?
ノンノ
さんカステラの奥深さ。
先生のお話を聞くたびに意識が深まります。
どこまで追及されるのか
今ではとてもたのしみです*
mottei
さんねかすという作業は、気温もさることならがら
湿度や時間などパンなど作っていても感じます。
実験では、同じ条件で行わなければならないので大変ですね
shin
さん「小麦粉を枯らす」とは、ただ、置いておくだけでは駄目なんですね。おいしさを科学することは、大変根気のいることなんですね…
ちび太
さん小麦粉も枯れるという表現があり、小麦粉も生きているんだなぁと思いました。本当に奥が深いお話で大変興味があります!
りんご
さん季節により気候も変わるので、
実験をするにも大変ですね。
小麦粉も新鮮だと結果も変わってくるとなると
また同条件をつくりだすことも
必須になりますが、難しいですね。
ちろ
さん小麦粉をここまで深く勉強すると、
カステラなど小麦粉を使った料理やお菓子など
良い状態のものを作れそうですね!
ぴー
さん小麦粉と水を合わせたものなら、親水性のように感じましたが、逆なのですね。
小麦粉をねかすにも、環境をしっかり整えなければならないなんて、カステラを初めて作った方、改良を加えた方に感謝します。。。
ミー
さん疎水性が高くなるとは…最初に私が考えていたことと逆でした。
難しいですが、続きが気になります。
オサム
さん前回のお話の中で
PS区分がT区分にエージングにより変化するとありましたが
分離しないのもその辺が原因でしょうか?
zoyu
さん1年もかけて実験するのですね!カステラも奥が深いです…
ジョー
さんん~、難しいですね・・・。
カステラも科学的に解析すると奥が深そうです。
素人は食べることに専念することにします(笑)