1年間ばかり小麦粉を枯らして(エージングして)、いよいよその粉を使ってカステラをベーキングするのです。

ベーキング前に、バッター中の卵による泡の安定性を測定しました。まずベーキングと同じカステラバッターを調製して、それをメスシリンダーに入れて容積を測定しました。
やはり小麦粉を枯らすに伴って、次第にメスシリンダー中のカステラバッターの容積は増加してゆきました。このことはカステラバッター中の気泡量の増えていることを示しています。小麦粉を枯らすことで、泡が安定化したのです。小麦粉の疎水化が原因でしょう。

小麦粉の疎水化は、小麦粉を水でぬれ易いか、ぬれ難いかで判断しました。これにはミキソグラフを使いました(FSTR 13, 351-355, 2007)。やはり枯らすと小麦粉はぬれ難くなります。


こうしてカステラバッターにエージング小麦粉添加で、泡により安定性を与えることが出来ました。

しかし高温のオーブン中でもなおこの疎水化でカステラバッターが安定化するかどうかは別問題です。

オーブン中でカステラを上部 230 ℃、下部 200 ℃のオーブン中でベーキングを行いました。

オーブン中では泡は熱で壊れるでしょう。しかし残った泡がカステラの組織ですね。

その結果、枯らした小麦粉ほどカステラの容積は大きくなりました。

枯らしの効果は十分に認められたのです。

加水量は小麦粉の固形量に対し常に一定ですから、水量の関係ではなく、あくまでも小麦粉の枯らしによる変化、疎水化です。

食べたあとの食感はというと、枯らす以前のものは、口腔内でねっとりとしたねとつき感は大きかったのですが、枯らすことで次第にそのねとつき感は低下しました。逆に弾力性が生じて口腔内でのドライな感じが得られました。

好みは人それぞれですが、学生に食べさせたりすると、若い人はドライなのが好き、そうでない人はねっとりが好きという塩梅でした。

その辺が小麦粉を枯らすことでコントロールできるということです。

ちび太

  さん

私は口の水分が奪われる感じがすきではないので、しっとりした方が好みです。
ブログを読むとカステラが無償に食べたくなります!笑

返信

まっきー

  さん

小麦の枯らし方で食感が変わるんですね。
ふんわりとねっとり、
あまり意識して食べていませんでしたが、自分の好みの食感の
カステラを見つけてみたいです。

返信

りっちゅ

  さん

7を飛ばしてさっそく8を読ませていただいてました・・。
申し訳ありません!7のカステラの記事を読み直すと
より8が理解できました!!!よかったです!9を期待してますね!

返信

tomato

  さん

カステラの食感の違いは、小麦粉の寝かし方で変わってくるのですね。
最近人気のある、半熟?のカステラも美味しいですが、やっぱりカステラはふわっとしたのが、いいです!

返信

ふたちゃん

  さん

私は、ねっとり(ずっしり?!)が好きです!

小麦粉でコントロールされているとは、知りませんでした!

返信

ダンボ

  さん

食感としてのドライとねっとりは、小麦粉の枯らしかたでコントロール出来るとなると、加工する側にとって工夫の範囲はますます広がりますね。

返信

R.T

  さん

ドライとねっとり…
今まで考えたことがなかったです。
やはり材料の状態と出来上がりの食感には
関係があるのですね。

興味深いお話をありがとうございました。

返信

オサム

  さん

ふわっとしたカステラも良いですが・・
 
若い人とそうでない人の
そうでない部類としては、
口に入れると蜜のようにジュワッと
しみるようなカステラも、
それなりに良いです。

返信