小麦粉を枯らしてカステラ製造に用いると、小麦粉の性質が疎水化を帯びて気泡安定性が増加して、カステラバッターの卵の泡が安定化すること、そしてそれが原因でカステラの容積が増加することを述べてきました。

小麦粉を枯らすことは、製パンの歴史が6千年もあるとすれば、当然知られてきたことで、また何となく利用されてきた小麦粉の扱い方でしょう。

しかしもっと短時間のうちに同じ効果が出ないものであろうか。あるいは全く別の方法で(試薬を使って)同効果を引きずり出すことはできないだろうかということも思い浮んだことと思われます。

そのスタートは目的は異なっていたが、クロリネーションによる小麦粉の漂白であったことが、結果的には疎水化であり、ホットケーキの改良効果に結びついてきたのでしょう。

しかしハロゲンなどを使わずにもっと安全な方法をということで、出てきたのが乾熱処理でした。

ホットケーキのときにお話ししましたが、この乾熱処理も当然昔から誰かが考えて利用してきたのでしょうが、枯らすことからみられる小麦粉の疎水化にポイントを置いて、クロリネーションの効率と加熱処理の効果の一致性を考えてみることは大変に意外性があって面白いことでした。


カステラにもこの乾熱処理小麦粉を用いようと言う訳です。小麦粉を120℃2時間ほど鉄板の上において、HEAT DRYINGする処理方法です。

室温でほぼ1年から、温度を10℃ずつあげてその反応時間を短く考えていった訳です。

30℃,40℃、50℃ーーーー120℃です。10℃温度あげれば反応時間は2倍になるとして、処理時間は出てきます。それをやっていった訳です。


例えば30℃で12ヶ月ならば、40℃(10℃アップ)では6ヶ月です。50℃ではさらに10℃アップで、3ヶ月であろうという塩梅です。


こうしてたくさんの小麦粉を乾熱してサンプルを調製して、カステラベーキングすると、室温時の効果(枯らし時間が長いほどカステラはよく膨らむ)と同じ効果の得られることがわかりました。

太郎

  さん

小麦粉の処理時間が長いほどに良く膨らむ。
なるほど。
でもどんな処理にも限界と適応はあるわけで
今回の熱処理ではどの区分が最も最適なのだろうかと
疑問に思ったので
次回良ければ教えて頂きたいものです。

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いも

  さん

元は同じ粉でも、
枯らすなど、ひと手間あると
仕上がりも異なってくるんですね。

食材一つ一つ
とても奥深いなぁと
改めてかんじました。

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まき

  さん

いつもブログを拝見する度に
普段食べているお料理や菓子は長い歴史があり
経験や知恵が積み重なっているのだなと感じます。

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ゆん

  さん

乾熱処理は家ではフライパンでもできますか?
カステラだけでなく、ケーキの生地などでも同じことが言えるなら、ふわふわのお菓子を作るために乾熱処理して作ってみようと思います♪

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tomato

  さん

小麦粉を乾熱処理する事によって、ふんわりとしたカステラになるのですね。長い年月の間に、そうすれば美味しくなるというのを、自然に発見してきた人間の研究心や、応用力もすごいと思いました。

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RT

  さん

普段何気なく食べているものにも
いろいろな歴史や裏があるのですね!

興味深いお話どうもありがとうございました。

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りっちゅ

  さん

ふわふわは研究に基づいている賜物なのですね。。。。
奥が深いです。

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mottei

  さん

間違っていたら申し訳ないのですが、
簡単に言うと
小麦粉を乾燥させると、泡が安定してよく膨らむということでよろしいでしょうか?
カステラを作ったことがあるのですが、その際に
膨らみが弱く、パウンドケーキのようになってしまいました。
ブログを読んで、再度挑戦してみたいと思います。

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Pig。

  さん

パンの歴史は長いですね。
最近半生のカステラが人気のようですが、温度や時間はどれくらいが最適ですか?

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ふたちゃん

  さん

カステラをふわふわに膨らますためには、卵の安定性だけでなく小麦粉にも工夫が必要なんですね!

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ミー

  さん

たくさんのサンプルを作り実験を重ねた結果、得られた結果ですね。
当たり前のように感じていることも、どうしてそうなるのか
よくわからないことが沢山あります。そういうことを論理的に理解できると面白いですよね。

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オサム

  さん

小麦粉を枯らす事と
乾熱処理が同様に疎水化を起こし
ふんわりした生地に仕上げる事が
わかりました。
この反応の変化をずっと昔から
人間は応用してきたのですね。

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