小麦グルテンの粘弾性、粘着性を使わずにパンを膨化させることは可能です。以前ヤマイモの話をしましたが、目下そのデーターを纏めてアメリカの穀物学会AACCの雑誌Cereal Chemistryに投稿し、その審査をお願いしています。

先方からは、3ヶ月たってもなしのつぶてだったので、何度かメール請求してやっと先週審査報告が届きました。この論文は、いつものように更に審査員と行ったり来たりをする必要があります。ヤマイモ、特に日本のジネンジョのことですが、これは大変に大きなねばりを示すことは皆さんも御存知の通りですが、このねばりにセメント代わりに小麦デンプンを加え、ヤマイモドウを作ろうというものです。

イーストのおなら(ガス)を発生させるために、ヤマイモドウにイーストとその餌の砂糖を入れるというシンプルなやり方です。

内部で発生したこのガスは、ヤマイモのねばりで十分にキャッチされ、ヤマイモと小麦デンプンでできたヤマイモドウは大きな膨化をすることが可能です。

このときの加水量、ドウ混合時間等の関係は、やはり何と言っても小麦粉ドウによる標準パンという膨化モデルがあるので、その相当加水量、相当撹拌時間で行ないました。

このヤマイモドウは十分に膨らみ、その膨らみはヤマイモの化学成分から成るものですから、それを更に調べたくなります。

ヤマイモを多量の水に透析して、透析チューブ内部に残る高分子量のもの(高分子量区分)、透析して透析チューブ外部へ出るもの(低分子量区分)とに分画することができました。

ヤマイモのかわり、この高分子量区分だけ、あるいは低分子量区分だけをつかってで前述のようにパンを焼くと、パンは膨化しませんが、それぞれの区分をヤマイモと同一比率で合一すれば、元のパンができました。

高分子量区分は多分、デンプン、繊維、たんぱく質、多糖類等から成るでしょう。低分子量区分は、糖質、アミノ酸、ペプチド等から成るでしょう。

低分子量区分のどのようなものがそのねばり、即ちパンの膨らみに関与しているのかを調べました。卒論の学生諸君に頑張ってもらい、低分子量区分のうち、糖質ではなく、ペプチド、アミノ酸類にその役割のあることが認められたのである。


ヤマイモのねばり、ペプチド、アミノ酸等の製パン時の膨らみへの役割を論文中でデスカッションしました。


更にバナナでも同じことをやってます。バナナの場合、青、黄バナナなどの未熟ものではパンの膨化は駄目で、黒くなり、糸を引くようなぐらいに時間がたったものがパンの膨化によいのです。黒バナナはバナナを十分に室温に放置し、皮が黒くなったころ、これを潰して凍結乾燥してサンプルの粉を作りました。本来こんなものは、動物園のサルの餌です。


この粉と小麦デンプンをブレンドして同一の撹拌を進めるとねばりが生じて、この性質をヤマイモ同様に利用するわけです。


バナナの場合、これを一度ベーキング前にオートクレーブにかけると、パンの膨化は悪くなることがわかり、少々エキサイトしてます。

バナナの黒色化、ねばりの発生とは、その中に何らかの自己消化酵素があるのでしょう。パンは膨らむようになります。

続き

ダンボ

  さん

黒バナナとパンとの関係、私にとってこの関係は
サイエンス・フィクションの世界です。

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ちび太

  さん

バナナが黒く糸を引く、、
ちょっと想像できません。
黒くなるのは可食部ではなく、
皮の部分だけでしょうか??

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imoko

  さん

粘りと膨らみに
そのような深い関わりがあるとは
面白いです。

バナナ場合、
風味や見た目など、
仕上がりがどのよな感じになるのか
気になります。

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shin

  さん

バナナにもパンの膨化に関与できる成分があるとは、驚きました。目に見えない世界の面白さが伝わって参ります。

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zoyu

  さん

バナナにもそんな力が!初めて知りました。食材の科学は計りしれませんね。

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ちろ

  さん

バナナの粘りでパンが焼けるなんて驚きです!!
バナナの香りがついたパンになるんでしょうか?

いろんな粘りのある食べ物で試してみるとおもしろそうですね!

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ぽん

  さん

本来こんなものサルの餌です・・・。
確かに、黒くなって糸をひくようなバナナ、想像したくないですもん。でも、食物が持っているパワーには色々なものがあるんですね。

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りんご

  さん

前回の答えはヤマイモだたんですね!
ヤマイモやバナナを使用することで、
どのような味になるのですか?

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mottei

  さん

黒くなって糸を引くようなバナナという状態を
みたことがありません・・・
パンが膨らむとして、衛生面は全く問題がないのでしょうか?

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tomato

  さん

山芋やバナナの粘りがまさかの、パンに!
すごいですね。

発酵の色々な研究内容を教えていただき、奥の深さに驚いています。

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トーテム

  さん

色々なことが解き明かされていくことはきっと社会の貢献にもなるし、研究者にとっても興奮の坩堝なのでしょうね。

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ジョー

  さん

最近は、ごはんでパンができてしまうという画期的な
機械ができたようですね。

パンが注目されていくんじゃないでしょうか

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ふたちゃん

  さん

バナナでパンを作ると、バナナの香りは消えてしまうのでしょうか?

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偽PT

  さん

バナナの熟したものが、膨らんでパンが作れるとは驚きです。味は普通に作るパンと変わらないのでしょうか・・・

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azuuuu

  さん

バナナの粘りでパンが膨らむのなら
納豆やオクラは膨らまないのでしょうか。
気になります。

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ノンノ

  さん

バナナの発酵。。

発酵食品が良いということでしょうか?
では納豆やチーズなど、
他の物でも代用が効くのでしょうか、、、

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りっちゅ

  さん

酵母う発酵は奥深いですね~!
バナナの熟したもの・・・・少し恐ろしいですが・・・。

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まっきー

  さん

意外な食材でパンを作ることができるんですね
パン作りが好きなのでとても興味深いです!

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Pig。

  さん

パンはいろいろな食材で作る事が出来るのですね。
楽しそうです。
味や食感はどれくらい違うのですか?とても気になります。

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ぴー

  さん

小麦グルテンを使わずにパンができるのですね!
米粉を使えば、小麦アレルギーの人にもおいしいパンを食べてもらえるのでしょうか!

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koko

  さん

黒く糸を引くバナナというのはなかなか強烈ですね。
動物園のサルも食べるかどうか謎です…。

バナナもそこまでいくと
パンを膨らませるようなパワーがあるのだと
びっくりしました。

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ミー

  さん

バナナでパンが作れるとは驚きです。
それにしても、糸を引くぐらい熟したバナナは強烈なニオイがしそうですね(xx)

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オサム

  さん

イーストのガスを捕まえる粘りがあれば
どんな食品でも
パンが作れるのでしょうか。

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