グルテンフリーパンについては以前にもお話しいたします。今年度、小生の科研費のテーマをこのグルテンフリーパンに付いてで申請したところ、うまく採用してくれたので、まんざらグルテンフリーパンのセリアック病も日本の研究者間で知られていなものでもなく、これからの日本の大きな研究テーマになるものと感じられ、ここに再びお話しする次第です。
このセリアック病というのは、小麦粉にある大切なタンパク質のグルテンに含まれるあるペプチド構造、例えばプロリンーセリンーグルタミンーグルタミン、グルタミンーグルタミンーグルタミンープロリンですが、これらがヒトの体の中に入るとある症状を引き起こす遺伝的な病気です。
ヨーロッパ人は1%、アメリカ人は1%弱、サハラ地域で4?8%、トルコ人は1?3%、イラン人で1%、メキシコ人が2?4%と言われています。日本でも心配されるところですが、日本では目下のところ不明といっていいでしょう。信州大学医学部が中心になって調査がされている様です。
日本ではパンも食べるし、ご飯も食べる、ビールも飲むし、日本酒も飲むと言った塩梅で欧米とは違って雑食中心の食生活であるためです。
小麦等の麦類を食べると生じる症状で、パン、ケーキ、ヌードル、飲料等、多くのものに小麦粉が使われているので油断できません。ソーセージなどにも増粘剤として使われていることになると、それを知らないでこれを食べると大変なことになる訳です。
食べた人、飲んだ人の症状は、結局小腸の粘膜の絨毛がつぶれてきて小腸の表面の絨毛がなくなり、このためにつるっとした小腸表面なります。このため体の中に入ってきた食物の栄養素の大部分は吸収できず(これは主にしわしわの絨毛の部分による)、成長が遅れ
、死に至る怖い病気である。
小麦粉等の麦類以外、米、コーン、そば、雑穀等にはグルテンがないので、これらを用いれば安心ですが、欧米人にはあまりその食習慣はなく、もっぱらぼそぼその連続性のないデンプンパン、デンプンケーキ等を仕方なく食べています。
これを小麦粉のグルテンを使わないで、何か膨化食品として完成できないかが大きな問題です。
なおグルテンがその食品に入っているかどうかのセリアック病対策のチェック方法には抗原抗体反応を用いたペーパークロマ法が独で開発されています。
小生のところではこのグルテンを用いない膨化食品、パンの開発をいろいろやっているので紹介します。
田村
さん先生の製パンの科学の本を愛読しています。娘に小麦アレルギーがありノングルテンのパンを焼く日々です。
小麦に負けないふんわりしたパンを焼くのに知識がなく、恥ずかしい限りです。先生に質問があります。
今、米粉(150メッシュの米粉)にα米粉を12%ブレンドしてパンを焼いています。一応膨らんで味も美味なのですが、ふんわり とした食感ではなく手にパンがついてきて納得いきません。ノングルテンパンの丁度いい吸水量というのは92%とも聞きますが、トロトロとした生地にするには私が使っている米粉では100%超えてしまいます。
先生はα澱粉を使用したパンを作った事はありますか?
頭の中が疑問だらけです。
ゆん
さんそんな病気があるんですね!
リスクが低くても、可能性があるのは怖いです…。
まっきー
さんこのような病気があることを初めて知りました
絨毛がつぶれるとは…こわいです
食事が欧米化してきている日本でも油断できませんね
グルテンを用いない膨化食品、パンの開発気になります!
lonpo
さんセリアック病!!
そんな病気があるなんて知りませんでした。
分かりやすい文章でとても勉強になります。
どうもありがとうございます。
ダンボ
さん先生のブログを読んでいくうち、素人の私が気がついたことがあります。
分子構造(統合も含めて)が大きくなると、何か人の体にはよくないことが起こる確率が高くなるような気がするのです、気のせいでしょうか。
そうだとすると、分子構造の大きい・・など大丈夫なのかと疑ってしまいます。
ぽん
さんセリアック病って初めて聞きましたが、死にいたるとは怖い病気ですね。それを考えるとやはり先生の研究というのは大きな意味がありますね。
りんご
さんグルテンを用いない膨化食品、パンの開発??
一体何を使用して膨らんでいくのでしょう??
次回の更新楽しみにしています!
ちろ
さんセリアック病、初めて聞きました。
アレルギーのようなものなのかと思ったのですが、
小腸の絨毛がつぶれるということには驚きました・・。
それは何年か経つと治ってくるものなのでしょうか?
ミー
さん○○の話 新シリーズですね。
さて、今回はどんな知らない世界があるのか…
「パンの開発」ワクワクします。
オサム
さんホットケーキ、カステラの次は
いよいよパンの話ですね。
グルテンフリーパンの話は
以前もありましたね。
グルテンに代わる粘りを出す食材を使う
事だったと思います。
今度はその化学分析でしょうか?
楽しみです。