当研究室の冷凍ドウの論文が間もなくCereal Chemistry誌上に発表されますが、この仕事は小生のところで大学院を終えた森元さんの行なった仕事です。
冷凍ドウを用いて製パンを行なうというアイデアは古くからありましたが、これは製パンには時間がかかリすぎるからです。早朝に出勤して小麦粉を練リ、醗酵させ、オーブンでベーキングして客に出すまでには大変な時間がかかります。現在の人がこの仕事をなかなかやりたがらないのは当然でしょうか。
特に日本のパンは、西洋のようにキリスト教がらみ、パンはキリストの体であると言ったことはありませんし、パンを焼くのに時間をかけずに、もっと簡単に出来るようにと使われている方法です。
あるところまで、例えばオーブンでベーキングする直前のところまで調製して、そこの段階でパンドウを冷凍してしまうのです。
パンドウを冷凍することによって、製パン直前までその後の時間をフリーズしておけるというアイデアです。
必要になったらフリーザーから取り出し、これを解凍してオーブンでベーキングする訳です。
この方法は非常に便利で、世界中で広く利用され、さらに広がっています。
我々が現在買って食べている菓子パン、詰め物パンなどはこの方法でベーキングされています。そのデメリットなどは、このようにして食べてしまうと殆ど気がつきません。
冷凍ドウメカニズムの解明と冷凍による製パン性の劣化の対策に対しては、多く報告されています。
冷凍ドウを解凍してベーキングすると、製パン性(パン高、比容積)は大きく劣化し、パンは膨らまなくなるのです。その原因については、いろいろ考察されていますが、なかなか正確な改良にまでは至っていないのが現状と思われます。
先ほど述べたように、パンの中に肉、野菜、餡などといろいろ詰められたパンについては、そのパン生地の冷凍による多少の変化は中味の詰め物でごまかされてしまい、パン独自の劣化は全体的には認められなくなっているが冷凍ドウの現状です。
しかし詰め物を含まないパン、例えばフランスパンでは顕著にその効果が表れ,冷凍ドウによるフランスパンなどあり得ないのではないでしょうか。
冷凍ドウの研究は世界中の人が目の色を変えて取り組んできた研究テーマです。その後を追いかけるのでは仕方ありません。彼女は冷凍ドウと製パン性劣化との関係について何か新しい研究の糸口はないだろうかと、何度も何度も製パン試験を行ないました。
森元さんはこの冷凍ドウ悪変のメカニズム解明に取り組んでいるわけで、彼女はすでに本研究でインターナショナル紙に1報報告しています。彼女の冷凍ドウ研究への取り組みは以下のようです。
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まつ
さん先生、お久しぶりです。
いつもブログ、拝見しています。
冷凍ドウは焼成すると、膨らみますが、
バッターを冷凍するとどうなるのでしょうか?
手軽に焼きたてのケーキが
食べられたらと思うので、
冷凍バッターもあればいいなぁ。
と思うのですが・・・
ダンボ
さん昔、ホテルではパン職人さんが一番早起きし、クラフト
マンシップを発揮したと聞いています。
確かに焼きたての香ばしい香りがするバゲットを、特製
バターでいただくのはたまりませんね。
フランスパン用の冷凍ドウはあり得ないとのことですが、
なんとか開発してもらいたいものです。
zoyu
さん冷凍ドウの研究が活発に行われていると初めて知りました。
次回も楽しみにしてます!
こめっこ
さん総菜パンとか菓子パンも好きですが、フランスパンやバゲットが一番好きですね~。
冷凍を買ってきて、簡単に焼きたてが食べられるならいいな~。
shin
さんそうですね、西洋と日本ではパンの捉え方が全く違うのでしょうね。冷凍ドウの研究、気になります。次回を楽しみにしています。
ミー
さんホームベーカリーの普及で気軽に焼きたてパンを
楽しめるようになりましたが、
冷凍ドウなんて方法もあるのですね。
…ちょっと気になったのですが、
キリスト教では「パンはキリストの体」という
考え方があるのですか?
聞いたことありませんでした。
へ~へ~へ~(古いですね ^^;)
オサム
さん焼く前のパンを冷凍すると
焼くときにつぶれてしまうのですね。
ご飯の場合は炊きたてを冷凍すると
解凍した時も炊きたてに近い状態になるので
パンも、焼いてから冷凍するのでは
うまくいかないのでしょうか?
解凍の仕方に工夫が必要とは思いますが。