カルカデパンのはなしの中にカルカデパウダーを小麦粉にブレンドすると製パン性(パンの膨らみ、パン高)は低下するとでてきましたが、その理由を考える時に、

1、カルカデが熱帯,亜熱帯地域の植物である事。パイナップルなどで見られるように暑い地帯の植物はプロテアーゼ活性が一般に高いという事です。このことからカルカでもそうなのではないかと思った事、プロテアーゼでグルテンが破壊されたのではないかという点です。

2、そのころわれわれの研究室で行なっていた研究に、小麦粉の酢酸ガス処理のことがありました。過度の酢酸ガス処理によりドウのpH低下がおこり、製パン性を低下させることが知られました。そのことからカルカデの持つ酸によるpHの低下がパンドウにおこり、その原因で製パン性低下が生じたのではないどろうかと思われた2点でした。


結局、前にお話ししたように、製パン性の低下はカルカデ中の酸によるためとわかり、pHを中性に戻してやると、製パン性が回復した事を述べましたね。

先日、S氏(前述のカルカデパンをビジネスに乗せた人)がいらして、カルカデパンの販売を再開したいとと言ってこられました。カルカデパンを食べてみたい鉄欠乏心配者の読者は、インターネット上でカルカデパンのキーワードを開いてみてください。



次には酢酸ガス処理パンの話に続きます。


ブロム酸カリウム(KBrO3)(通称ブロメート)は、ある米国の研究者らによって製パン性の高まる事が確認されました。彼らのパテントを見た事があります。ある時期からオープンになって、世界中でこのブロメートが永い間使われてきました。しかし消費者はブロメート使用のことを余り知っていなかったと思われます。

その後、このKBrO3に対し食品衛生面から議論されるようになり、使用を見直すような流れとなってゆきました。ブロムのようなハロゲンが危険だという事でしょう。


ブロメート使用を中止すると製パン性が劣化するならば、別の安全な方法で同一効果は得られないだろうかというはなしです。ブロメートによる小麦粉酸化のメカニズムから、アスコルビン酸(ビタミンC)を使用する流れとなりました。


アスコルビン酸は、これも西欧のある研究者が果実の汁をパンドウに入れたら、パンが良く膨らんだ、そしてその汁の中のビタミンC (VC)を入れたら、製パン性がやはりよくなったなどという事から、VCにその効果があるとなりました。VCがブロメートにかわって用いられるようになったわけです。しかしブロメートほどの効果がない、パンのフレーバーへの影響が違うなどと言われてます。


小生のところでも、さらに別の安全な方法で良い製パン性効果はでないだろうかといろいろと探りました。

かつて小麦粉にクロリネーション(塩素ガス処理)をして、その効果についていろいろ調べたことがありました。そこでは小麦粉(粉体)/塩素(ガス)という固体-ガス反応がおこり、小麦粉にクロリネーションの効果のでる事を示しました。この件、以前お話しましたね。

そこでは水が関与しないので、小麦粉製品としては都合良いのです。


こうして考えると、なにか気体で小麦粉を処理し、ブロメート同様の効果は生じないだろうかということです。更に衛生的に安全であるという条件もつきます。

ガス化するもの、HCl, I2ーーーーいろいろな考えられるましたが、酢酸もやってみたらという事でした。


酢酸を水でうんと薄めたのがお酢です。酢酸は食品衛生的にも安全です。


ある日、酢酸ガス処理した小麦粉で製パン試験を行なったとき、パンの膨張は製パン機の蓋をおしあげるほどだったのに驚きました。

そんな事から酢酸ガス処理小麦粉の製パン性の改良効果についてもっと詳しく調べてみようと言うことになりました。


以下酢酸ガス処理小麦粉による製パン性の改良効果についておはなします。

ちろ

  さん

酢酸ガスで、蓋をおしあげるほど・・というのには
驚きです。

大学のときにパン屋でバイトをしていましたが、
ふくらみ方について深く考えたことはありませんでした・・。

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トーテム

  さん

カルデラパンのHP拝見しました。

少々お高めですが機能性食品ですのでしょうがないですね。

食べて健康になる食品を全員が当たり前のように食せる社会になるといいなと思います。

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ゆう

  さん

空気でそこまで膨らむなんて、
ガスの力すごいですね!

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mottei

  さん

アスコルビン酸や酢酸など、パンにはあまり関係が
なさそうな物質が製パン性を高めるというのは
おもしろいですね

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ちびすけ

  さん

カルカデパン、販売再開されたのですね!
この間健康診断で、貧血ぎみなか?と言われたので、
興味があります。

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りんご

  さん

パンの膨張は
製パン機の蓋をおしあげるほど・・・
ということは
出来上がりのパンがより
ふわっとするなど、
変化があるのですか?

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nao

  さん

酢酸ガスは膨張のカギなのですね!
すごい力ですね。

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偽PT

  さん

カルカデパンの販売を再開したのですね。この間、テレビで鉄分がたらないと病気になる話をしていたので、アピールすれば必要な人は、いっぱいいると思います。

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rei

  さん

カルカデパンのお話、毎回楽しみにしています。

これからもあまり知られていない、
いろんな種類のパンについて紹介して頂けると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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tomato

  さん

カルカデパンの販売を再開したのですね。
必要としている人は、多くいらっしゃるように思います。

酢酸ガスの力は凄いですね。蓋を押し上げる程の製パン性が
あるなんて。名前も良く分からない添加物ならば、こういった
酢酸ガス等の安心なものを求める人もいるのではと思います。

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ダンボ

  さん

パンの膨らませ方には、いろいろあるのですね。
それぞれのシーンで、上手に選んで、食卓に載せ
たいと思います。

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koko

  さん

パンはふかふかなものも好きですが、
私はハードタイプも好みです。
パンの膨らまし方には本当に様々な方法があると
不思議に感じていますが、
やはりガスの効果が1番なのでしょうか。
気泡が細かいほど
触感もいいですし、もっと
美味しいパンが出来るようにと、
皆さんが頑張っておられるのですね

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ぽん

  さん

カルカデパンの販売再開も、うまく情報のうねりを作れれば、大きなブームを作れそうですよね。忙しい朝に欠食する方が増えている中で、朝食はごはん派よりも、パン派の方が多いですし、朝食をしっかりとるメリットと、そこにカルカデパンを食すことで、一日の体調を整えたりといった情報を加え、アピールしていけば、必要としている方はブログのコメントを拝見していても多いと思います。

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ジョー

  さん

最近パンは、米や米粉を使ったものがブームなようですね。
食べるとモチモチしていてすごくおいしいのでやみつきになりそうです。
もっぱら米食なのですが、パン食にするのもいいですね。

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zoyu

  さん

ブログを定期的に拝見していますが、パンの製法は本当にたくさんあるのですね!パンの奥深さに改めて感心しました。

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ふたちゃん

  さん

酢酸ガスにそのような力があるとは知りませんでした。
やはり酢酸を入れることによって殺菌効果などで、日持ちするようになったりするのでしょうか?

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オサム

  さん

なかなか、イースト菌の発酵ガスだけでは
ふっくらとしたパンに仕上げるのは難しいのでしょうか。
食品衛生上問題のあるガスは論外としても
出来れば、色々と添加されていない方がいいと考えるのは
素人考えなのでしょうね。
まず、一般に市販されているパンに
何がどのように使われているかをしりませんね。

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shin

  さん

酢酸ガスがパンの膨張にそこまで関与するのですね!蓋を押し上げるほどとはすごい力ですね。酢酸ガス処理小麦粉の改良効果について楽しみにしています。

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