こうして、外麦のいろいろな種類を酢酸ガス処理して製パン試験を行なうと、何れの小麦粉もある酢酸処理レベル、例えばレッドナイト小麦粉では1.0-2.0mL/kg 小麦粉のレベルで、最大の製パン性(パン高、比容積)を与える事がわかりました。
この酢酸ガス処理レベルと最大製パン性との間の関係は何だろうか、と数多くの小麦粉でその関係を調べました。その結果、小麦粉のタンパク質含量とその最大の製パン性を与える酢酸ガス処理レベルとの間には、相関性(r=0.81) があったのです。
データーから、タンパク質含量の低い小麦粉ほど、低レベルの酢酸ガス処理レベルで最大の製パン性を与えることが出来ることがわかりました。一般にこのような酢酸ガス処理をしなくても高い製パン性を与える小麦粉は、高タンパク質小麦粉のようです。従って酢酸ガス処理は、余り品質の良くなく、そのままではパンの膨らみの悪いような小麦粉に都合がよいようです。
内麦は、製パン性の点で品質のよいものが得られにくいと言うのが通説です。その理由は、低タンパク質である事、あるいはグルテン品質がよくない事でしょう。
確かに内麦で製パンすると、膨らみもそれほどよくなく、クラストの色は白っぽく、表面がゴツゴツです。食味ももう一つです。丁度受験勉強中の学生で、よく言われる"もやしっ子"のような、色白のパンになるようなものもあります。これが日本国内で内麦が受け入れられない状況です。しかも内麦は低タンパク質気味です。この内麦をこれまで通リ,酢酸ガス処理して製パン試験をしてみようと言うことです。
いろいろの小麦粉を九州、本州、北海道の各地の農業試験場から送ってもらいテストしました。やはり何れの小麦粉でも、ある酢酸ガス処理レベルで最大の製パン性を与える事がわかりました。そのレベルはやはリ低タンパク質小麦粉という事から、酢酸ガス処理レベルは低めで機能しました。
低めという事は、食味の点から酢酸臭が消えて望ましいのです。
はじめに述べた小麦粉のタンパク質含量と、最大の製パン性を与える酢酸ガス処理レベルとの相関ラインには、この内麦もほぼ乗りました。
パンのごつごつした感じも、酢酸臭も、バター添加で消えることがわかりました。
この小麦粉酢酸ガス処理は、内麦の製パン利用への可能性を示す一例でした。
更に中国産小麦粉も数種類入手して同様にテストしました。
つづき
ひぽぽ
さん確かにお菓子やパンはバターを入れた方が
おいしい気がしますが、
そういった働きもするのですね。
いちご
さんバターにはそんな効果もあるのですね!
3℃
さんバターの効果もいろいろあるんだなぁと、
改めて驚きました。
ちなみに私はバターたっぷりのパンが大好きです。
更に食べる前にもバターを、、。
マーガリンもいいですが、バターの風味は格別ですね
rei
さんバターってすごいですね!
普段何気なく食べているものにも
いろんな秘密が隠れているものなんですね。
ふたちゃん
さんバターの香りは万能ですね。
バターをいれることでたいていの料理は美味しく感じられる気がします。
新しい低たんぱくパンが開発されそうですね。
ゆう
さん質の良い高蛋白の小麦粉はそのままでも良いですが、質の悪い低蛋白の小麦粉は酢酸処理かつバターの添加で改善できるということでしょうか。高蛋白の小麦粉を使用した場合、低たんぱくの小麦粉に酢酸処理とバター添加をした場合のどちらの方がコストは抑えられるのでしょうか?
りんご
さん私もバターで酢酸臭が消えることに驚きました。
またそのしくみはなぜですか?
パンの世界は専門用語がたくさんあって、
難しいですね。
ミー
さん酢酸臭がバター添加で消えるとは
面白いですね!
オサム
さん国内産の小麦が、麺用に適していた為に
パン用の小麦はほとんど輸入に頼っていた
という事は聞いたことがあります。
低たんぱくの小麦でもふっくらしたパンが出来るのなら
たんぱく制限のある人向きにはいいですね。
ダンボ
さん前回のコメントで「安い小麦粉で、美味しいパンが出来る
ようになれば、ありがたいですね」と書きましたが、もし
かしたら、当たっているのでしょうか?
ジョー
さんなかなか専門性の高い内容ですね。
勉強になります。