炭化したセルロース粒に3種類の有毒キサンチン系色素(エリスロシン、ローズベンガル、フロキシン)の結合する事がわかりました。炭化セルロース粒と色素の結合はイオン結合と疎水結合である事が判明しました。
セルロース粒は食品として使用しても問題はないと思われ、これをパンの中に入れる事を考えました。
これまで炭化していないセルロース粒は10?20%ほど小麦粉にブレンドして、製パン試験を行ないましたが、セルロース粒サイズが154μメータ-以上になると、製パン性が無添加時と比べ、損傷ないほど良好の製パン性(パン高、比容積)を与える事がわかっています。果たして炭化セルロース粒がやはりこの未炭化セルロース粒同様の製パン性効果を与えるかどうか、これは実験してみないとわかりません。
田原さんはまずはじめにセルロース粒の炭化の程度を調べ、どのぐらいの炭化で色素結合量がマキシマムになるのかを検討しました。その結果250℃、20分の炭化処理がよいとわかりました。
この温度で処理すると、炭化セルロース粒の色は、粒径の大きいほど着色が弱くなる事がわかりました。
セルロース粒の色は、炭化を強くすると真っ黒となり、弱いほど黄色に近づくのですが、粒表面は褐変や、カラメル化反応が起こり、余り好ましくない物質の生成の可能性があり、こんなものは入れたくありません。
従って炭化時間はなるべく短い方がよいと考えました。しかし短かすぎて吸着効果が消えてしまっては仕方ありません。
炭化セルロースの粒径をいろいろ変えて製パン試験を行ないました。
粒径 250μメータ-以上の炭化セルロース粒で製パンすると、未添加の製パン時に比べても変化しない(すなわち良く膨らむパン)ことが判明しました。
セルロース粒が大きくなるとグルテンマトリックスの破壊が防がれるという事と思われました。
つづく
ちろ
さん同じ物質でも粒のサイズが変わったり、形状が変わったりすることで、それが与える影響も大きく変わるのですね。
まき
さん炭化の程度大きさなど適した状態だと
いろいろな物質に製パン性がありおもしろいですね。
koko
さん先生のパンに寄せる情熱に
いつも驚かされています。
なかなか私には難しい内容に
戸惑う事もありますが、
先生の研究姿勢をいつも参考に
させて頂いています。
ちび太
さん量であったり、物質の大きさだったり、微妙な調整になってきますね。結果が楽しみです!
ゆう
さん吸着効果が高い方が、よく膨らむパンになるのですね。
その以前の話が理解できていなくて申し訳ございませんが、「吸着」とは、何を吸着するのですか?
りんご
さんグルテンマトリックスの破壊による
食感への影響はどのようにでてくるのですか。
ひぽぽ
さん粒径や炭化しているものとしていないものでは
影響が違うものの、
それぞれでベストな状態があるのですね。
mottei
さんセルロースとうことは繊維ですよね
パンとは無関係に見えて、製パン性に関わってくるのですね
いちご
さん温度、時間、粒径様々な要因がおいしさを作っているのですね
azuuu
さんイメージがわかないのですが、炭化セルロースは繊維を炭にしたものになるのでしょうか。入れすぎたら見栄えと味にも影響があるのでしょうか。
ふたちゃん
さん炭化セルロースを入れることでどういったメリットが生まれるのか気になります。
zoyu
さん最初に出てきた「有毒」という言葉にびっくりしてしまいました。
パンは色でもおいしさを感じるので、味だけでなく気持ちもよりおいしく食べられるような工夫がされていると嬉しいです。
ミー
さん真っ黒なパン=苦そう…と
想像してしまいました。
有害な物質は吸着して、
パンの美味しさも変わらないなら
言うことなし!ですね。