炭化セルロース粒を小麦粉に10-20%ほどブレンドして製パンを行なうと良好なパンが得られます。これはパンの低カロリー化です。もう一方の機能は、体内のエリスロシン等のキサンチン系有毒色素をこのパン中の炭化セルロース粒表面に吸着させて、体外に放出するということです。

パンは口腔から入り、食道から胃に入り、胃から小腸(十二指腸、空腸、回腸等)へ、大腸へと流れてゆき、その間栄養素は消化吸収されてゆくわけです。

パン中の炭化セルロース粒は、多分消化吸収される事なく流れてゆきます。人の消化器官は複雑なメカニズムによって支配され、パン成分は消化吸収されてゆきます。

パン中の炭化セルロース粒、加工食品中のキサンチン系色素は夫々、この複雑なシステム中を流れてゆき、うまくゆけば大腸に至って共に吸着し合い、排便に至ることが望ましいのです。

これらキサンチン系色素と炭化セルロース粒の吸着の関係はやはりpHに大きく影響されます。

吸着のメカニズムは、これまで述べたようにイオン結合と疎水結合です。

pHによって、疎水結合は影響はないと思いますが、イオン結合の方は大いに影響を受けるはずです。

消化器官内は、口腔内はpH6-7、食道は6-7、胃はpH1.5、胃を出ると直ちに膵液(pH7.5-8.0)、胆汁(pH7.8-8.6)が放出されて中和され十二指腸のpHは6-7となります。大腸では、腸内細菌(乳酸菌、大腸菌)が盛んに活動して乳酸、酢酸等を出し、内容物は健康者はpH6.8-6.9付近と言われています。

キサンチン系色素の分子構造を見ると、マイナスにチャージを持つ箇所が2カ所あり、水中では溶けていますが、pHの低い臓器、胃などではそれらのチャージはプラスの水素イオンで塞がり、不溶化します。しかし胃を出ると、この酸は中和され、再び可溶化します。

カラム法を用いて、10mMTris緩衝液を用いて各種pH溶液を調製し、その中でキサンチン系色素の一つエリスロシンの炭化セルロースカラムクロマトグラフィーの吸着実験を続けました。

その結果、pH7-8ではエリスロシンの炭化セルロースへの吸着は低下しました。炭化セルロース表面にあるアミド基の水素イオンのチャージは、pHがアルカリ側に片よれば、自然ーNH3+のプラスイオンのチャージは消えてゆきます。色素の吸着は弱くなります。

田原さんは微細にその周縁のpH値とエリスロシンー炭化セルロース粒の吸着について検討しました。

大腸に入った食物は、その大腸中の乳酸菌や大腸菌による腐敗分解によりpHは低下します。主に糖質の分解によるものです。従って分解内容物のpHは6.5-6.7ほどになるでしょうか。

何とかこのレベルならば、炭化セルロースにエリスロシンの吸着するパワーは残っているものと思われました。吸着量の低下した時はセルロース量を増やすという事でカバーできるでしょう。

健康な人ほど大腸内のpHは乳酸菌、大腸菌による炭水化物の腐敗醗酵により低下し、炭化セルロース粒への色素吸着力の大きくなる事が推察されました。


つづく

オサム

  さん

健康な人ほど有害物質の排せつを促しやすいのは、
正しいような気がします。
本当は不健康な人ほどその作用が強く出る方が
健康を取り戻す効果があるのでしょうけれど。

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ダンボ

  さん

イオン結合と疎水結合を、人間の社会に当てはめると。
友人・知人結合と、親族結合といったところでしょうか。
どちらも大切な結びつきですが、機能面からみると随分と
違いますね。
化学音痴の独り言!

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