一昨年(2010, 6/8-11)、フィンランド、テンペレ市でグルテンフリーの国際会議(Gluten-Free Cereal Products and Beverages) があり、これに出席してきました。日本からというより、東洋からは小生一人の参加者でしたが、欧米人の参加者は数百人の大きな学会でした。

この会は小麦粉中のグルテンタンパク質が引き起こすセリアック病に関する学会です。この病気は、小麦粉を主食とするヨーロッパ、アメリカでは人口の1%強の人がこれでなくなるという恐ろしい病気です。患者さんはグルテンを含む食品は一切食べられません。その原因の追及やら、対策やらに関する学会で、食の欧風化が進みパン食の進む日本でもこれから問題になる大きなテーマです。

この会に出席して欧米の人たち、特にドイツ、フィンランドの研究者が多かったのですが、彼らの発表の様子などをうかがい、グルテンフリーへの関心の深さを伺うことが出来ました。医師、化学者、食品企業の人たちなど、多くの分野の人たちで活発に議論が行なわれました。その中に管理栄養士の発表者がいたことが意外でした。若い女性管理栄養士が「私はDietitian(管理栄養士)だが」と滔々と他分野の人たちの中で自分の意見を述べていました。帰国後、小生のゼミ学生らにその様子を話し、「君らもあのようにならねばいけない。」と激励したのですが、現実味がなかったのでしょうか、笑っていました。

日本人にとってはさらに語学で苦戦を強いられることと思われますが、そんな中に入り込み国際的に活躍できる管理栄養士もこれから必要になってくるでしょう。スポーツ関連の管理栄養士の人は、すでにオリンピックなどの国際大会などで外国の管理栄養士とわたりあっているのでしょうし、あるいは将来、国際的な人がほしいはずです。いい情報交換の場面でもあるでしょうから。

しかしそこで問題となるのは語学でしょう。各大学、4年間の管理栄養士のカリキュラムの中には教養科目としての外国語科目はあるでしょう。しかし管理栄養士の専門科目は逼迫しており、しかもその中には必須の語学に関するカリキュラムは皆無が現状です。学生は高等学校でかなり英語を勉強してきたはずですが、続けてないと英語などすぐに忘れてしまいます。

神戸女子大学では、管理栄養士養成課程の中に、病院実習先の一つとしてハワイ、ホノルル市のクワキニ病院(Kuakini Health System 1900年 日本人慈善協会により創立)にお願いしています。平成14年から毎年2名の学生をハワイに派遣し、本学の宿舎からクワキニ病院にバスで通い、そこで実習をお願いしています。管理栄養士の国際化のいいチャンスだと思って続けています。これまで過去14年間、22名の学生を送り込み、2週間みっちりトレーニングしています。病院では日本の若い女子学生が来ると云うので大変に喜ばれていますが、毎年最後に先方から言われるのは、もう少し英語の出来る学生を送ってください、栄養士の専門英語の勉強も、と言われています。

クワキニでの2週間は全て英語での生活で、先方のDietitianに張り付いて、いろいろ指導を受けています。大変に効果的です。この先方からの語学訓練の要望に対し、本学ではカリキュラム的には全く対応しておらず、自主的に数カ月間昼休み時間に英語教員に指導を受けさせています。英語力、語学力のなさを残念に思っています。

これから管理栄養士の国際的ニーズが必ずやってきます。

大学のカリキュラム、大学院のカリキュラムで専門英語教育をしなければいけないと思ってます。特にスポーツ栄養関係では必要になってくると思われます。選手をバックアップする英語のしゃべれない管理栄養士が、果たしてスポーツ等の国際大会で他国の管理栄養士とわたり合えるのでしょうか?Completely Noでしょう。さらに日本の医療技術の進んでいることと、それに伴う日本の管理栄養士の技術の深さがこれからの日本の売り物にもなるのではないでしょうか?やはり国際化が必要です。

そんなこんなから早々に厚生労働省なども英語教育を熟慮し、管理栄養士カリキュラムの中に専門英語教育のカリキュラムを入れることに取り組んでいただきたいものです。

小野

  さん

初めまして。

記事を読ませて頂きました。
日本も栄養士の国際化が必要だということ、納得しました。

私はずっと昔から栄養に興味がありましたが、迷った末に大学は文系にすすみ、国際系の勉強をしておりました。
アメリカへ留学したのですが、その際に食文化の違いなどに触れ、までますます食の大切さと健康に関心が募ったのを覚えています。

卒業後、商社に就職をしたのですが、やはり栄養士になることが忘れられません。

大変恐縮ではございますが、もしご都合がつけばお会いしたいのですが、可能でしょうか。

宜しくお願いいたします。

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バリット左由利

  さん

こんにちは、初めまして。
ワシントン州シアトル在住、アメリカのほうで管理栄養士をしています。日本後、英語を喋るので、栄養と健康を通して日本とアメリカの架け橋になれる機会を探しています。何かいい情報があればと連絡させてもらいました。よろしくお願いします。

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りえ

  さん

こんにちは!私は来年大学を卒業して管理栄養士の試験を受ける管理栄養士の卵です。私はどうしてももっと管理栄養士の地位が上がってほしいと考えています。そこで、病院に就職し知識を身につけ、その間英語の勉強にも取り組みいつかは世界でも活躍できる人材になりたいと考えています!TOEIC700点少ししかなく、英語を流暢に話せる訳ではありませんが、これからの努力でどうにでもなると考えています。いつか先生にお会いしてお話ができるように頑張っていきます。

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hina

  さん

この記事はすばらしいです。
私はまだ未熟な学生ですがもっと海外をみて学んでいきたいと強く感じております。
語学と栄養の知識を深め、世界中の人に健康と食の素晴らしさを提供できる人材になろうとおもいます。

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三好崇弘

  さん

瀬口先生

初めてコメント・メールさせていただきます。

私は、(独)国際協力機構(JICA)の支援で、ザンビアで農村開発の仕事をしております三好崇弘と申します。

上記の記事を拝読いたしまして、深く同感いたしました。
是非、私が仕事をしております、ザンビア農業省での青年海外協力隊事業について、ご相談をさせていただきたく、不遜ながらもメールをさせていただきました。

来年7月より派遣予定のザンビアの「栄養改善プログラム」への協力隊を4名募集しております。(応募期間は10月~1ヶ月)

アフリカ・ザンビアでの栄養改善をテーマに、様々な専門を持った方々が、現地のひとと協力しながら、調査、分析、啓蒙活動、事業実施、評価といった活動をします。

栄養士キャリアUPブログや先生のブログの読者、特に栄養士の方で、このようなグローバルなお仕事にご興味がある方がいらっしゃいますでしょうか?

もしよろしければ、広報ポスター(A4 pdf 200kb)を送らせていただきますので、栄養士さんがよく読んでいる先生のこのブログや栄養士キャリアUPのブログに掲載していただけたらと、思っていますが難しいでしょうか?

お忙しい所、申し訳ござません。

お時間のございます時に、ご返信いただければ幸甚です。

三好崇弘
(ザンビア ルサカ在住)
ザンビア国 農村振興能力向上プロジェクト

miyoshi1970@gmail.com

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chaw

  さん

海外での病院実習とは素晴らしいですね。NSTが進んでいるアメリカで学んだ事をぜひ日本で活用して頂きたいと思います。

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tomato

  さん

実習で海外の病院に行けるなんて、凄いですね。
羨ましいです。それに、語学に関しては英語の授業が特別に無かったので、やっぱり授業を増やす等、対応が必要ですね。
お世話になっている栄養士さんが、日本の栄養学は遅れていると仰っていました。海外の考え方も取り入れて、更に栄養士の底上げをしていかないとですね。

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ミー

  さん

英語が大の苦手な私には耳の痛い話です。
それにしても大きな学会で東洋人の参加が
先生1人のみとは驚きでした!

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トーテム

  さん

 自分が何になりたいのかということを強く強く思い浮かべることができるようになることが必要かと思います。
 そのためには私たちが、将来を背負って行く人たちの為に背中を見せてやらなきゃいけないんだなと思います。

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Shozzy

  さん

英語圏で生まれた人たちは我々日本人が英語を勉強する時間も研究に充てられて有利だと思うと悔しい部分はありますが、現実問題として英語で論文が書かれたりしている以上学ばなければいけないと思います。

世界に羽ばたく人材が栄養士に限らずたくさん出てほしいですね。僕も世界に挑戦したいのでがんばります!

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ダンボ

  さん

国民医療費が昨年37.8兆円となり、国民の健康を守るため、さらには、医療費抑制のため、管理栄養士による生活習慣病等の対応が必要になると思います。

そのため、今後管理栄養士の役割は高まってくるものと思います。

だだ、発展途上国の食生活改善に尽力するような仕事(ボランティア)や研究機関の研究者の方等は別として、一般の管理栄養士まで海外に目をやる必要性があるかというと、そうでないような気がします。もちろん、ビジネスとして考える場合は別ですが。

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ジョー

  さん

管理栄養士の国際化は素敵ですね。
世界で活躍する栄養士が増えれば、健康な方も増えると思います。

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蟹玉餃子

  さん

英語を学ぶにしても、栄養学にしても
何のために学ぶのか
将来の自分にどのように役立つのか
その点がはっきりすれば自分で学ぶ姿勢を持つでしょう。
栄養士の国際化。
小麦粉中のグルテンタンパク質が引き起こすセリアック病
はもちろんのこと、先進国で問題となっている肥満。
栄養士は生活が豊かになればなるほどに
世界的に必要とされているのに、
日本での知名度と言いますか、評価が低いことが残念です。
もっともっと、栄養士の仕事の魅力や役割を
日本全体で盛り上げて行きたいと感じます。

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ふー

  さん

管理栄養士の国際化は素晴らしい事ですね。
語学もそうですが海外での栄養士としての
研修はとても良い経験になると思います。

返信

ふた

  さん

私の大学でも友人が研修として海外研修していました。
今思えば、英語に自信がないし…と言って諦めず挑戦すれば良かったと思います。
最近になってやっと世の中に栄養士という資格が浸透してきましたが、国際的に地位が高まるのはまだ時間がかかるのでしょうか。

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りんご

  さん

管理栄養士の国際化の支援のために
海外での実習を支援する制度
とても素敵ですね。
是非今後もその活動を強化し、
様々な学校でそのような取り組みができるように
なるとうれしいですね。

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mottei

  さん

実習先に、海外の病院が含まれているなんてすばらしいですね
これから国際化の時代、英語は必須になってきますね
そういう私は、以前英会話教室に通った時期もありますが
まったくしゃべれません。やはり使っていかなければ駄目ですね

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Pig。

  さん

食事は、生きていく中でなくてはならない事です。
世の中で、まだまだ栄養士の認知度も地位も低いと思います。
現役の栄養士がもっと頑張らないといけないですね。

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偽PT

  さん

管理栄養士も国内だけでなく、国際化になっているんですね。スポーツに関わる栄養士の方は、国際大会などで活躍していると思いますが、今後は専門知識と語学も両方できた方が仕事の幅が広がりますね。

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オサム

  さん

日本人の国際化には栄養士だけでなく
語学が最もネックになるのは
ずっと変わらない事実です。
日本の学校や職場にもっと外国人(英語で
コミュニケーションをとる外国人)がいれば、
自然に英会話が出来るようになると思います。
普段の生活で英語が全く必要ないのでは
どうやったって使える様にはなりません。
ただ栄養士という事でいえば、英語の前に
日本の中での地位向上がまず先に必要な気がします。
医師は一人対一人で病気を治しますが、
栄養士は一人で何十人何百人の相手を
病気にならないようにできます。

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