雑誌,"Starke"  に投稿していた論文が一ヶ月ぶりにメールで回送されてきました。結論は、このままではAcceptできない、論文を大きく修正せよ(Major Revise)ということでした。本誌はドイツの雑誌で、中心のレフェリーは、Glasgow Caledonian 大学 Prof. R. F. Testerさんです。

この論文は、小麦デンプン粒表面の疎水化をこれまで親油性の有無で求めてきたものを、乳化剤の一つであるSFAE(Sucrose Fatty Acid Ester=ショ糖脂肪酸エステル)で定量しようというものでした。いろいろ工夫して定量化をデザインしたのですが、レフェリーに言わせるともっとやれというものでした。

もっと詳細にアイデアをつめてゆけ。親油性との関連をもっと詳細に示せということです。

主レフェリーのTesterはじめ、2−3名のレフェリーは何れもこの世界の超ベテランで、的確にそのポイントを当方に言ってこられました。常々思いますが、彼らは当方の思いもよらぬ面を突いてくるわけで、世界は広いなと思います。諸外国にはレベルの高い人が目隠しで存在しています。彼らの学問をひっぱるレベルはなかなかいいと思います。更に腕を磨いて研究をやらねばならないと気付かせてくれます。



小麦デンプン粒を乾熱処理(120℃、2時間)するとデンプン粒表面が極めて強い疎水性(親油性)を示すようになります。この性質は水中でデンプン粒をなたね油などと一緒に強く撹拌し、放置するとデンプン粒は強くこの油と結合し、そのまま油を抱きかかえて水中に沈むことからも明らかです。

この疎水化をもっとスマートに定量したいのです。

水中でSFAE をこのデンプン粒と混合撹拌すると、SFAE はデンプン粒表面に結合することがわかりました。

SFAEの脂肪酸部がデンプン粒疎水基と結合したためです。SFAEを結合させたデンプン粒を十分に水で洗浄して未結合のSFAEを除去した後風乾し、ソックスレーを用いてエチルエーテルでデンプン粒に結合していたSFAEを遊離させ、そこに溶解します。

このSFAEのショ糖部は簡単に糖定量できます。こうして結合したSFAE量を定量することでデンプン粒表面の疎水性を測定するという方法です。

トーテム

  さん

なんだか熱くなってしまいます。

どこまで行っても、研究は果てしないですね。

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ダンボ

  さん

「もっと詳細にアイデアをつめてゆけ」「親油性との関連をもっと詳細に示せ」とは、ビジネスの世界と同じですね。
自分では最後の一息と思っていても、実際は50%ぐらい残っていることがよくあります。

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chaw

  さん

「なぜ?」「どうして?」と疑問を持つことでより物事を理解できるのですね。日頃から探究心を持って仕事をしていきたいと思います。

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tomato

  さん

1つの論文を完成させるには、本当に多くの方のチェックが
入り、世の中に発表されるのですね。
関わる皆さんで作り上げていく大変さを改めて感じました。

見る人によっては、どんな事も「これで満足」は無い、
という事ですね。改めて私も気付かされました。

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ふー

  さん

研究というのは終わりのないものですね
だからこそより深くどこまでも
のめり込んで行けるのかも知れません。

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りんご

  さん

レフェリーの存在初めて知りました。
論文を出すのに内容の修正を頂くこともあるんですね。
新しい見解の発表である論文に
内容の変更があるとはなかなか厳しいですね。

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ミー

  さん

もっと詳細にアイデアを!
関連をもっと詳細に!というのは
論文だけではなく仕事など繋がりますね。
自分ももっと頑張らなくては!!と思います。

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偽PT

  さん

ひとつのことを研究するのは大変なことですね。研究者の方々はそれぞれの考え方をお持ちなので、奥が深いです。

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Pig。

  さん

一つの事を研究するのって大変な事ですね。
私達は本に載っている事や、学校で学んだ事を、知識として得ていますが、もともと誰かが研究に研究を重ねた結果なんだなと感じました。発想力が必要ですね。

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ぺぺろんちーの

  さん

研究の世界は広くてとても濃い世界ですね。海外の研究者とお話するのは大変そうですが刺激的でとても楽しそうです。

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cureia

  さん

世界の研究者として活躍されているのを感じます。
小麦デンプン粒表面の疎水化の定量法はまだまだ洗練されていかねばならないんですね。
大変な研究だと存じますが応援しております。

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Shozzy

  さん

昔よく論文を読んでいた(読まされていた?)ことを思い出しました。皆さんの努力の結晶を読ませて頂いていたんだなと今更ながらに思います。

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ふたちゃん

  さん

研究者の数だけ、いろんな視点があり、考え方もあり、と言うことですね。
思いもよらぬ面をつかれて、もっと研究をせねばと思える先生の向上心が素晴らしいと思いました。

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オサム

  さん

なるほど面白いですね。
有無でしか表現できなかったものを
定量化する事が出来るわけですね。
洗浄などによる誤差がどのくらい出るものなのでしょう?

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