小麦粉グルテンの引き起こすセリアック病は、ヨーロッパ、アメリカの1-10% ほどの人々が被る恐ろしい病気です。この病気は、グルテン、あるいは小麦以外の麦類のもつタンパク質のある種のアミノ酸配列(例えばQQPGQG,QQPGQG, QQPGQG, QQPGQG等)が原因とし、人間の小腸の柔毛が欠如して引き起こされる病気です。柔毛が無ければ食物から栄養成分を獲得できず、死に至る怖い病気です。


ビールなど、大麦の関与するアルコール飲料なども飲むことはできません。グルテンタンパク質はハム、ソーセージなどの加工食品のつなぎ材料にも用いられますが、そこにはグルテン使用の表示がない、とそれを知らない患者たちにとっては大きな恐怖でしょう。

従って、自ら食する各加工食品中にグルテンがどのぐらい混入しているのかをチェックしなければなりません(簡単な試験紙で判定できます)。


日本人も今やパン(小麦)を食べずに生きていけるヒトがどのぐらいいるだろうか、という食生活の時代に入ってきました。日本人はじめ、東洋人(米食中心だった)にとっても、これからグルテンのことは大きな社会問題になる問題です。


これまで当研究室では、小麦グルテンに置き換わる粘りのある食材として、ヤマイモに注目してきました。特にそのうちジネンジョという日本独自の材料、これは独特の粘性多糖類を有し、グルテンとは一切関係ないことに注目してこれまで膨化食品(パン)を製造してきました。しかしそのパン原料(ジネンジョ、デンプン、イースト、砂糖、水)中のデンプンに小麦デンプンを用いてきました。

この小麦粉デンプン粒は表面にフリアビリン等のタンパク質が存在していたり、あるいは微量のグルテンなども付着して混入の恐れがあるであろうと指摘されてきました。

いろいろトラブルがありながらポテトデンプン、甘藷デンプンでパン高, 比容積、ともに   小麦パンに匹敵するほどのものを得ることに成功しました。


さらにヤマイモ以外の小麦粉グルテンを含まない粘性食材を探し、小麦デンプン以外のデンプンをさがし、目的とする膨化食品を作ることに成功しました。粘性食品の好きな日本に存在する一連の膨化食材を片っ端から小麦粉に置き換えてテストし、小麦デンプン以外のデンプンとの組み合わせを考えて、あたらな膨化食品の製造に進んでいます。


4年生のゼミ生、井関さんは大学院入学を希望しており、近く行われる大学院入試に合格してくれれば本研究に本格的に参入してもらう予定です. 以下推薦文です。

井関杏子さんは、昨年夏(3回生後期)から食品加工学研究室で卒業研究「ヤマイモ/各種デンプン(ポテト、甘藷、米、トウモロコシデンプン)を用いたセリアック病患者用パンの研究」を進めています。本研究は当食品加工研究室の大きな研究テーマの一つであり、井関さんの仕事に大いに期待しています。セリアック病とは、小麦粉グルテンに基づく遺伝病で、グルテン中の或る特殊なペプチド鎖が原因です。そのため患者の小腸柔毛が消失するという病気で、ヨーロッパ、アメリカ人の1−10%の人がかかり、子供はそのため死に至ります。グルテンという粘性を有する食材に変わり、ヤマイモ、バナナ等の食材を求めて研究を進めてきました。そのうちヤマイモによるグルテンフリーパンの成果は既に論文化してきました。しかしそこに用いられたデンプンには小麦粉デンプンを用いたため、そこからの微量グルテンの混入が危惧されます。井関さんはポテト、甘藷、米、トウモロコシデンプン等の小麦デンプン以外のデンプンを用いて、このヤマイモパンの研究を進めています。目下興味を持ってポテトデンプンにとりくんでいて、よい成果が得られています。その後には他のデンプンを用いてこのヤマイモパン製造をすすめ、さらに新たな粘性食材の検索によりグルテンフリーパンの体系化を進めようと意気込んでいます。彼女は着々と実験をすすめるという熱心さがあります。大学院入学を推薦します。


ミー

  さん

セリアック病は、聞きなれない病気です。
小麦アレルギーと似たような症状なのでしょうか。

小麦はあらゆるものに入っていますし、
食材自体に入っていたら分かりにくいですし
食物の制限は、大変ですよね。
ご苦労されている方のためにも研究が
成功することを願っています。

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recruit

  さん

セアリック病という病気を初めて知りました。
食事の制限があるということはとてもつらいですね。
研究が進んでい行くことでセアリック病で苦しむ人の助けになることはとても素晴らしいことですね。

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Pig。

  さん

麦は自分が想像している以上に使用している食材が多いように感じます。
研究が進んで、セリアック病の方もパンが食べれられるようになるといいですね。

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tomato

  さん

先生のブログで初めてセリアック病を耳にしましたが、
欧米人で1-10%あるというのは、相当ですね。
グルテンフリーのパン以外にも、研究が進んでどんどん商品化
出来ることを願います!井関さんの今後のご活躍を願っております。

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kame

  さん

セリアック病、初めて聞きました。
グルテンに気をつけている患者様にとって
表記がないものがあるというのは大問題ですよね。
怖くて何も食べられなくなってしまいそうです…

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ふー

  さん

セリアック病は今まで聞いたこがありませんでした。
パンで患者様を救えたらとても素晴らしいことだと
思います。応援しております。

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ポテト

  さん

セリアック病、恐ろしいですね。
しかし、食でその方々を救う事ができたら
本当に素晴らしいですね!
応援しております。

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ダンボ

  さん

セリアック病にかかったという話は、身近に聞いたことはありません。
しかし、欧米で罹患率が高いとなれば、日本でも増えるかもしれません。
いずれにしても、食の分野で、世界に貢献できるようになればいいですね。

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ふたちゃん

  さん

日本になじみのないセリアック病ですが、やはり食の欧米化が進んでいる日本にもいすれは起こりうるものなのでしょうか。
ゼミ生井関さんの大学院合格、心よりお祈りしております!

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りんご

  さん

セリアック病患者用パンの研究がすすめば
患者さんの食生活が更に充実してきますね!
研究応援しています!

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cureia

  さん

欧米や中東での流行が多いようですね。
グルテンフリーパンの研究が世界を変えていくのかもしれませんね。

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オサム

  さん

セリアック病は日本人にはなじみの無い病気ですが、
欧米ではかなりの罹患率なのですね。
遺伝病と言うことで納得いく気もします。

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ひいらぎ

  さん

身近な食品であっても、人によっては恐ろしい凶器となってしまう怖さが伝わってきました。グルテンフリーパンの研究が進み、当たり前のように製造され、市場に出回るような世の中になると良いですね。

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ぺぺろんちーの

  さん

セリアック病を初めて知りました。デンプンが原因でそんなに恐ろしい病気が引き起こされることがあるんですね。セリアック病の方向けのパン研究が早く進むよう、応援しています。

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Shozzy

  さん

いつも凄まじい情熱を傾けてらっしゃることにただただ驚嘆するばかりです。情熱が新しいものを生み出し世の中を変えていくんだと思います。

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