9/20(金)ー21(土)と高松市のホテル ルポール讃岐で"第40回の食品の物性に関するシンポジウム"が行われました。香川大学、合谷先生と京都大学、松村先生のご尽力によるものでした。

高松は、よく整備された清潔な感じの町です。栗林公園などがあるせいでしょうか。神戸三の宮からバスで約3時間のところで、淡路海峡大橋をわたり淡路島へ、そこから鳴門海峡大橋をわたり四国鳴門へ、そして高松へと乗り換えなしの高速道路で連なる大変に便利なところです。


大会は興味深い2日間でした。各講演者の持ち時間は30分、討論10分というものでした。


1日目の広島大学の本同宏成先生の「油脂結晶研究の最前線」のはなしは、チョコレートの結晶型のはなしでした。チョコレート製造時、テンパリングといって温度管理が極めて微妙であり、その結晶型にα、β'、β型がありチョコレートの食感、色に大切であることは知られてます。しかし彼のはなしの中にはチャーニングの重要性が述べられていました。単にチャーニングという物理的撹拌だけでカカオバターのβ'型がβ型になるといいました。なぜ物理的撹拌だけで結晶型が変わったのでしょうか、疑問が残りました。


さらに北大低温研の佐崎 元先生の氷の結晶化の話も面白かった。結晶化とは細かな物質の積み木のようなものだと言われてます。まず細かなブロックができそれが次第に1個づつ積み重なって大きな結晶ができるといいます。結晶化のモデルを映画を使って見せてくれました。さらに氷結晶のもとになるものには2相の水があり、その一つの相は一枚の座布団状のもの、もう一つの相の液適状のものからなり、液適状のものは1個づつ細かなブロックに変化してゆくと言われました。


2日目には、農研機構 近畿中国四国農業研究センターの高田兼則さんの「小麦粉品質に関係競る遺伝子型と小麦品質の育成」の講演がありました。座長をつとめました。

農水省がこれまで進めてきた小麦粉の改良研究、それはジーンレベルの改良で、次から次へと新しい知見が報告されました。製パン性との関連研究が必要でした。短期間であれほどの研究がよく進められたものと驚きました。そのため製パンの製造研究との関連性が次第に希薄になるのではないかとの私の質問に対し、上からの強い指導で一連の研究を行ってきたとのことでした。


研究とは、短時間、金と人力で押せ押せでやるのではなく、ゆっくりと落ち着いて時間をかけて研究するものだと「おいしさの科学研究の動向と実際」の講演の中の山野善正先生の言葉が印象的でした。

その他、いろいろ面白い話がありました。