これまで納豆の粘性を利用したグルテンフリーパンの研究に関心を持ってきました。

 

納豆は、ボイルした大豆に納豆菌(Bacillus subtilis)を培養してその納豆菌の生産する多糖類(ムチン)、タンパク質(ポリグルタミン酸)の粘質高分子と、大豆を食べるという日本独特の発酵食品です。

 

このうちの粘性高分子を何とかグルテンフリーパンの膨化に用いられないだろうかというアイデアです。

 

パンと納豆というと、欧米の古い本などにはロープと言う言葉が出てきます。これは腐ったパンの代表で、パンを食べると納豆の糸(ロープ)が引くという事でしょうか。古くなってパンの中に納豆菌が生えたためでしょう。パンクラム中の水分含量は、40%近くあります。パンは生鮮食品です。 納豆菌とは枯草菌のことで、この菌は枯れ草のどこにでも潜んでいます。パンのクラムに潜むのでしょう。

 

 

この納豆の粘りは簡単に水に溶けるもので、納豆の粘りをよくたたせて水を加えてこれをとかし、遠心分離後にマメのみをすてます。粘り成分はこの上清液を集めて、フリーズドライすると簡単に粉体として集めることができます。マメはさらにこれに菌を付けて増やすことも可能でしょう。

 

この粉体3.0gに、砂糖26.58g、小麦デンプン90g、コンプレストイース30g、水40mLの配合でよく撹拌して40℃で20分間発酵し、これを210℃で10分間ベーキングすると、パン高43.9mm、比容積2.96cm/gのよくふくれた膨化食品のできる事がわかりました。

 

納豆臭はベーキングにより消失してしまい、はじめが納豆とは誰もわからないほどです。 

 

納豆の粘性物質を使った膨化食品(パン)のできる事がわかりました。納豆による日本発のグルテンフリーパンが可能です。