1967年12 月10日発行の新聞、東北大学教養部創刊号は、思い出深い新聞なのでここに紹介します。今から40年前のものです。この新聞が自分の英語習得の引き金になったのです。すっかり忘れてましたが、心の奥底に焼き付いてました。
定年で大学を去るにあたり、自宅の整理をするうちに、思いがけず古い書類の間からぬけ出て来たものです。中高英語から急に難解な一般英語(英字新聞、論文、小説等)の理解に戸惑った自分が、もがき苦しんでいるときにこの新聞にであって、その当時英語習得法はこれだなと思った記憶があります。
英語の言語は憶えねばならない。重要な英語構文も憶えねばならない。英文法は?一からまた教科書で学ばねばならないという恐怖感がありました。この新聞の中、「外国語の勉強について」吉良松夫先生の英語習得のお考えは、そうではなく、以下豆腐の製造様にできると述べられていました。
「英語習得するための一例として、英語習得とはドロドロに溶けた大豆の汁の中にほんのひとつまみのにがりを投じたさまに似ている。そのにがりによるものは、今読みかけている書物の印刷インクのほのかな香りであったり、ふと口にしたコーヒーの香りであったり、近所の鉄工場の機械の雑音であったり、それはひとにより事情により千種万能である。しかしこの結晶作用のごときものに到達するまでは暗中模索や試行錯誤やずいぶんとおろかなことを繰り返すであろう。だがここまでたどり着けば、後は心掛け次第でどれだけでものびることができる。根気よく努力を続けてゆけば必ずこのときが来て、大豆の汁は豆腐になるという確信を持つことは大変によいことである。ただし、大豆の中から冷や奴でいっぱいの境地などを空想ばかりしていてはものにならない。」と苦言も少々言っておられました。
確かに憶えようなどとせずに、こうして何度も何度も辞書を引いたり、わからないところは飛ばしてででも前に進めて来て、自然と英語がわかるようになったと、自分のやり方は吉良先生の言う通りだったと実感し、半分黄色になったこの新聞をみて懐かしく、感謝するとともに,同じ悩んでいるみなさんに紹介する次第です。英語勉強は無理をしないで、あり(蟻)の歩みです。いつかある日突然、豆腐になるのです(英語がわかるようになるのです)。それがコーヒーの香りのきっかけで、少量のにがりで大豆タンパク質が凝固するようにです。にがりとは2価の陽イオンですね。豆腐とは大豆タンパク質の2価の陽イオンによる凝固物です。英語習得以外も全て同様ですね。