2.食べられるのに捨てられるフードロス

 台所から出る生ごみの3分の1が、使い残し、食べ残しなど「食べられるのに捨てられた」食品なのである。環境省が平成27年に1741市区町村をアンケート調査したところ、家庭から出る食品ごみ、年間870万トンのうち、まだ食べられるのに捨てられた「食品ロス」はその35%、302万トンであった。家庭から出る食品ロス、302万トンは、一人あたりにすると毎日茶碗に半杯、金額に換算すると1世帯当たり年間6万円にもなるのである。農林水産省が平成28年に調査したところ、まだ食べられるのに捨てられている「食品ロス」は事業所で352万トン、家庭で291万トン、合計643万トンであった。実に、捨てられている生ごみ約2000万トンの3分の1が、まだ食べられるのに捨てられているのである。 

 終戦後の食料難を経験した高齢者は食料を使い残したり、食べ残したりはしない。ところが食べ物があり余っている時代に育った若者たちは平気で食べ残し、使い残して捨てる。20年前になるが、農水省が全国1000世帯について「食品を廃棄した理由」を複数回答で聞いてみたところ、鮮度が落ちた、カビが生えた、腐敗したというのが最も多く61%であった。ところが、消費期限や賞味期限が過ぎたからが46%、食卓に出したが食べきれなかったのが40%、いただき物を食べきれなかったが23%、準備をしたが食べなかったが12%もあった。 安売りにつられて買い過ぎて、使いきれずに捨てたり、買ってあることを忘れているうちに賞味期限が過ぎて捨てているらしい。よく考えないで食べきれないほど調理し、食べ残されることも多いのである。

 消費期限、賞味期限とはその食品が良好な状態に保たれていて、おいしく食べられる期間のことである。賞味期限は長いものなら3カ月以上もあり、それも2-3割のゆとりを持たせて短く表示してあるから、期限が少しぐらい過ぎていても食べられるのである。すぐに捨ててしまわないで、色、匂い、味、保存状態などをチェックしてから捨てるのがよい。最近では賞味期限が過ぎたらすぐに捨てることは一時よりずいぶん少なくなっているらしいが、その外にも、買いすぎない、作り過ぎない、余れば冷凍して保存する、食べ残さないなどとすぐに実行できることが多い。           

 スーパーやコンビニでの売れ残り食品の廃棄については問題が多い。消費者は食品を購入する際に鮮度にこだわり、製造年月日が新しいもの、賞味期限にゆとりがあるものを選ぶ傾向がある。だから、スーパーなど小売店では賞味期限ぎりぎりまで棚に置いておかないで、賞味期限の70%程度が経過すれば店頭から撤去して廃棄する。弁当や総菜は細菌数が100万個に増殖する時間の少し手前を消費期限とし、それを過ぎれば廃棄している。1時間や2時間過ぎたものなら食べても安全なのであるが、万に1つでも食中毒が起こればチェーン店全店の信用が失われるから廃棄するのである。こうして、スーパーやコンビニでまだ食べられるのに捨てられる食料、食品は年間300万トンぐらいになると推定される。

 世界的に食品ロスを減らそうという運動が起きるきっかけになったのは、2011年(平成23年)に国連食糧農業機関(FAO)が世界の食料生産量の3割にあたる約13億トンの食品が棄てられているという衝撃的な報告をしたことである。国連では2015年に採択した持続可能な開発目標(SDGs)において、2030年までに世界中で食料の無駄な廃棄を半減させるという目標を掲げている。我が国ではようやく本年から食品ロス削減法を施行し、自治体ごとに削減目標値を決めて食品ロスの削減に取り組むことになった。民間レベルにおいては、食品メーカーから廃棄される在庫品、規格外れ、傷もの製品などの寄贈を受けて、それを生活困窮者に届けるフードバンク運動が盛んになってきた。平成28年現在で全国60団体が活動して合計5000トンを超す食料を届けている。