1.食べ過ぎて肥満者が激増している
食べものが有り余るほど豊かになったので、人々はつい食べ過ぎて肥満になりやすい。肥満者の割合は40年前に比べると男性では倍増していて30歳から69歳の男性は3人に1人が肥満であり,女性でも40歳以上は4人に1人が肥満である。中高年者は基礎代謝量が若い頃に較べて低下しているにもかかわらず,それに合わせて食事の量を減らしていないから過食になりやすい。例えば、50-69歳の男性は1日に必要な食事エネルギーが2000キロカロリーであるのに、平均して2240キロカロリーも食べているから10%の過剰摂取になっている。女性も60歳以上になると15%の過剰摂取である。そこへ運動不足が重なって肥満になるのである。青壮年層では脂質エネルギー摂取量が増加して、適正摂取比率である25%を超えているので肥満になりやすい。
日本人の栄養状態が一番よかったのは昭和60年頃である。戦後、我が国では米食中心、つまり澱粉質を多く食べる食生活から脱却して、肉類や乳製品など動物性食品を多く摂る欧米型の食生活をするようになった。その結果、昭和60年ごろにはタンパク質、脂肪、糖質の摂取が理想的なバランスになり、国民の体位が向上し、平均寿命が延びて世界のトップクラスになった。ところがそれ以降、三度の食事を栄養バランスよく摂るという食生活の基本が乱れ、栄養の過不足が生じるようになった。年齢層別にみてみると、男女ともに15-39歳で平均摂取カロリーが所要量に較べて8-13%も少なく、60歳以上は逆に11%も多い過剰摂取である。タンパク質は40歳以上の世代なら10%から20%多く摂りすぎている。脂質は15-39歳の世代で適正とされる総エネルギーの25%を超えて過剰に摂取している。
欧米諸国では1日に3000キロカロリー以上もある食事を摂り、しかも肉料理が多いので脂肪の過剰摂取による肥満、高血圧症と動脈硬化が増え、心臓疾患が多発している。ところが、日本では戦後、食生活の内容が改善,充実したにもかかわらず国民1人当たりの摂取カロリーは平均して1日あたり2200キロカロリーを超えることがなく、脂肪の過剰摂取になることもなかった。ご飯の量を減らしたといっても、昭和60年頃まではまだまだご飯中心の食事であることには変わりはなく、そして、動物性タンパク源として肉ではなく脂肪の少ない魚を主に食べてきたからである。ところが、その後、米飯を食べることが更に減り、肉類の摂取が増えて、魚の摂取が減少した。その結果、脂肪の摂取が上限とされている総カロリーの25%を超えて29%に増えた。それと共に中高年者の肥満が急激に増加し始めて、生活習慣病が蔓延してきたのである。肥満者の割合は40年前、昭和の時代に比べると、50歳以上の男性なら倍増している。
