この12月に「食の科学と生活」という本を建帛社より出版しました。

小生が編集しましたが、著者は阿部誠先生(学習院女子大)、大喜多祥子先生(大阪大谷短大)、大久保郁子先生(京都光華女子大)、楠瀬千春先生(九州栄養福祉大)、細見和子先生(神戸女子短大)、松村羊子先生(畿央大)、吉野世美子先生(京都女子大)方でした。代表で小生は以下のような書面を"はじめに"にのせました。ご一読ください。


序文

食に関する知識はどんどん増加し、われわれはそれらに基づく豊かな日本の食生活を享受している。世界中のありとあらゆる食材が日本に集められ、また国内では優秀な技術にもとづく穀物・野菜・果物の育種を通して、新しい美味しい品種も誕生しているからである。さらには食品の加工・貯蔵技術も進み、益々豊かな食生活を楽しむ事の出来る時代である。

一方で、食にかかわる数々の現代の問題点がある。例えば栄養学的に眺めると、食が第一の原因であると言われる生活習慣病(糖尿病、脳卒中、心臓病、脂肪異常症、高血圧、肥満等)の問題は深刻だ。さらに、日本の食の自給率の低下の問題も大きい。この国の国際的リーダーシップとしての能力の限界を考えたとき、小さな日本を自覚しながら食の自給率は少しでもあげてゆかねばなるまい。世界中で問題になっているGM (遺伝子組換え)食品の問題もあろう。毎年1億人近い世界の人口膨張を考えたとき、このGM食品に対する国際的には通用し難い日本人のGM反対のふるまいは、国際社会の中で理解の得られない状況となっている。子供の育成と食生活の問題だってそうだ。旧来からの日本の良き家庭生活のノウハウを忘却するあまり、自分たちの子供に対する誤った食育なども目に余る現状である。さらには日本人の食生活の変化、異常なほどのスポーツ熱の専門性から生じる食の変化、さらには新たな宇宙食等、数えきれないほど新しい食の関心事は生じている。


大局的に見ると、われわれの持つ食に関する知識には偏りがあり、どちらかというと、化学的、栄養学的面における知識への偏りは大きい。この日本という土壌の中で、ヒトとして生きるために必要な真の食の理解を得るためには、単に食のこれらの知識だけでは不十分である。学ばねばならぬものに、地球上の食の起源、近くは日本人の生活の中で培われてきた食文化とも言われる食の歴史的の流れがある。更に食生活と衣・住生活との関連などにも関心を抱く必要がある。


いま再び、われわれの落ち入れがちなこの局所的な化学的、栄養学的面を、こうした観点から眺め直してみる必要があるのではないだろうか。

この気持ちをもつ各方面の専門家が集まって、本書の出版に至った。いま、日本人の食について考えねばならない問題点を、本書で多岐な面からお読みいただき、お考えいただけたら幸いである。

   著者代表 瀬口 正晴




ご紹介まで。

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