小麦粉を乾熱処理すると、カステラの膨化が良くなるとか、パンケーキの弾力性が良くなるとか、これまで研究を進めてきました。

何れも小麦粉の疎水化の増加が原因と考えられます。特に小麦粉の7割を占める小麦デンプン粒表面が強く疎水的に変化し、これらの製菓材料に有効に働いているものと思われます。

さらに、小麦粉の中でおこる変化について、小麦粉(1)に水(1)を添加後、この高粘度のバッターは乾熱処理小麦粉を使うとさらに粘度(BU)のあがることがわかりました。興味深い現象です。

小麦粉は水溶性(WS)、グルテン(G)、プライムスターチ(PS)、テーリングス(T)区分からなりますが、WS、G区分をのぞいた場合、乾熱処理が同様の粘度変化の結果をもたらすのかどうか、メカニズム追求の点から興味深い点です。

ソーセージに小麦粉バッターを付着させ、油であげて食べるアメリカンドッグでは、そのバッター付着量が経時的に低下することが知られてます。その原因は小麦粉中のキシラナーゼの作用によるという報告もあります。乾熱処理でバッター粘度があがるとすると、経時的な付着量の低下も押さえることができるのではないでしょうか。

この辺の研究は卒論学生、中川真理子さんが担当して実験を進めています。

中川さんも大学院進学を希望してます。以下は彼女への推薦文です。

中川真理子さんは昨年夏(3回生後期)から食品加工学研究室で卒論研究「乾熱処理による薄力小麦粉の水中あるいは油中における物性の変化」を行っています。乾熱処理により薄力小麦粉の物性変化は大きく、そのためカステラ、パンケーキ類の菓子類のBaking後の膨化、弾力性の変化は大きいです。これまで当研究室ではこの関連で数々の業績をあげてきました。現在、その中でも未処理小麦粉に比べ、乾熱処理薄力小麦粉/水、乾熱処理薄力小麦粉/油中でその粘度が大きく変化する原因ついて調べています。これまで定性的には経験されてはきましたが、未だ正確な調査には至っていません。今春から中川真理子さんがこの研究を進めています。乾熱処理の条件、120℃2時間で、小麦粉は大きくその粘度を変化しますが、本人はこの現象に大変に興味を抱いています。今後さらに小麦粉の酢酸分画(水溶性、グルテン、プライムスターチ、テーリングス各区分)研究により、いずれの区分とこの乾熱処理効果が関連あるのかを調べてゆく予定です。今後、乾熱処理小麦粉の利用については世界的に広がり、その時彼女の進める基礎研究は重要なものとなるでしょう。中川さんにはこの研究に力を注いでもらい、食品加工分野で大きく貢献してもらいたい。彼女は実験予定日には早朝から出校し、実験をすすめるという熱心さがあります。大学院入学を推薦します。


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