セルロース粒というユニークな素材を使い、低カロリーパンの研究を進めました。そしてそのサイズ(直径)選別が、セルロースによる製パン性(パン高、比容積)劣化を抑える事に有効である事がわかった事は大切なことでした。

これはセルロース以外の物質でも、粒子サイズが製パン性に大きく関与し、そのサイズに注目しさえすれば、製パン改良に有効であると思われますね。

更にセルロースといえば、我々はこれを紙にして文字をそこに書きこみ、記録を残す事が出来、昔から伝達記録材料として利用してきました。ペーパー、パピルスと言ったところです。

果たしてセルロース粒とした場合、この粒表面も何とか利用できないだろうかという事です。この粒表面に文字を書き付けてという事は、その粒子サイズの細かな事から意味はありません。

我々はこの粒表面に何か機能を持たせて、製パンにしてこれを食べたとき、低カロリーと同時に何か体中で健康増進のための機能を持たせられないであろうかという事です。


しかしこの粒子の表面をそのままでは何も機能を示しません。あるいは示してもそれはわれわれの欲しい新規機能ではありませんね。しかも体に取って安全なものでなければなりません。

かつてデンプン粒子でも同じ事をやってきました。たとえば小麦デンプン粒のクロリネーション(塩素ガス処理)であれば、デンプン粒表面に疎水化が起り、ケーキ類に組織改良効果が生じました。さらにその展開例として、クロリネーションにかわり乾熱処理により粒表面に同様の疎水化をおこし、ケーキ類等の組織改良に応用が考えられています。

そのころ山口県立大学から田原さんが院生として入ってきました。

彼女はこのセルロース粒の炭化処理を考えました。

はじめは、磁性の皿の中にこのセルロース粒を入れて、ガスバーナーで下から黒色になるまで熱処理を行なったのです。そして何か新しい機能の生じる事を期待したのです。




つづく
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